偏狭な利他主義
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/14 14:39 UTC 版)
偏狭な利他主義とは、自分の社会集団のメンバーに優先的に向けられる利他主義のことである。この効果を調べるために、パプアニューギニアの2つの先住民グループ間で行われた第三者独裁ゲームの結果を調べた研究がある。ゲームには4つの条件があり、プレイヤーA(独裁者)、B(受容者)、C(観察者)はすべて同じグループから、AとBだけが同じグループから、AとCだけが同じグループから、BとCだけが同じグループから、という条件で行われた。現在の行動理論では、規範はグループ内の相互作用から発生するものであり、したがって、部外者は規範に従わず、規範によって強制される利他的な行動からも利益を得ないとしている。したがって、この理論では、ABC処理条件以外では罰は発生しないと予測される。しかし、4つの条件のいずれにおいても罰は定性的に類似していることが明らかになり、平等主義的な共有規範が集団内にも集団間にも存在することが示唆された。 また、4つの条件では、すべての条件で平等主義的な共有規範が示されていたが、ABCとBCの条件では、刑罰がはるかに高いことが観察された。このことは、第三者観察者が自分と同じグループに属している場合には、被害者がより保護されることを示唆している。また、独裁者は、第三者観察者が被害者と同じグループに属している場合には、より厳しい処罰を期待していることがわかった。また、AとBのメンバーが同じグループでは異動率が高く、AとCのメンバーが同じグループでは異動率が低いことがわかり、独裁者は自分のグループの第三者観察者に寛大さを期待していたことが示唆された。
※この「偏狭な利他主義」の解説は、「第三者罰」の解説の一部です。
「偏狭な利他主義」を含む「第三者罰」の記事については、「第三者罰」の概要を参照ください。
- 偏狭な利他主義のページへのリンク