俳優の個性を生かす才能
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/30 18:15 UTC 版)
「セルジオ・レオーネ」の記事における「俳優の個性を生かす才能」の解説
『荒野の用心棒』に出演し世界的に知名度を上げたクリント・イーストウッドは、もともと『ローハイド』などのTVシリーズでは人気を収めていたが、映画俳優としての評価はいまひとつだった。そんな不遇なイーストウッドをレオーネは見出し、世界的な大スターに押し上げた。イーストウッドの演じる「名無し」は、それまでの西部劇の英雄とは異なり、自らに課した掟の遵守のみに忠実で目的の実現のためには手段を選ばないという人格を持っていた。レオーネとイーストウッドが二人で作り上げた「名無し」は衝撃を以って受け入れられ、その後の創作物におけるアンチヒーローの造型に大きな影響を与えた。 『夕陽のガンマン』の共演者は当初リー・マーヴィンが予定されていた。しかしマーヴィンが『キャット・バルー』に出演するため契約を断念、そこでレオーネは代役として主にハリウッド製西部劇などで悪役を演じていたリー・ヴァン・クリーフを抜擢した。ヴァン・クリーフもイーストウッドと同じく映画界から干されていた身で、オファーが出された当時画家として糊口を凌いでいた。『夕陽のガンマン』でレオーネの期待に応える演技を見せたヴァン・クリーフは、一躍スターダムにのし上がった。これ以降ヴァン・クリーフの出演作品は増え、マカロニ・ウェスタンを代表する俳優へと出世した。 レオーネ自身は英語をほとんど話せなかったものの、ハリウッド出身の映画俳優たちと積極的に意思疎通を図っていた。撮影中、レオーネが身振り手振りで演技指導することもしばしばで、中でも『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』撮影時には作中の様々な役柄をレオーネが実際に演じ分け、俳優たちを驚嘆させた。 このようにレオーネには、俳優の個性を見出し、それを十分に生かす才能があった。
※この「俳優の個性を生かす才能」の解説は、「セルジオ・レオーネ」の解説の一部です。
「俳優の個性を生かす才能」を含む「セルジオ・レオーネ」の記事については、「セルジオ・レオーネ」の概要を参照ください。
- 俳優の個性を生かす才能のページへのリンク