価値論の刷新
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/30 13:55 UTC 版)
マルクスは『資本論』冒頭において、商品から使用価値を捨象した場合に残るのは価値実体としての労働のみであるとする、いわゆる「蒸留法」により労働価値論の論証を行った。これに対し宇野は、労働価値論は労働力が商品として売買される資本主義社会において初めて全面的に確立されるのであるから、マルクスのように単なる交換関係から直接労働価値論を説くのは誤りであると考えた。そのため、宇野『経済原論』は、『資本論』と異なり、まず価値実体論を前提とせずに商品、貨幣、資本を説き、その後「生産論」で初めて労働価値論の論証を行う、という編成を取った。そして労働価値論の論拠を、労働力商品を販売する無産労働者が賃金によって生活資料を買い戻さざるを得ないことに求めた。
※この「価値論の刷新」の解説は、「宇野経済学」の解説の一部です。
「価値論の刷新」を含む「宇野経済学」の記事については、「宇野経済学」の概要を参照ください。
- 価値論の刷新のページへのリンク