例3:バーゼル問題の解
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/03 01:42 UTC 版)
余接関数を使った関数 π cot(πz) は、全ての整数 n が1位の極であり、留数はいずれも 1 である(これらが特異点の全てである)。このことを利用して、 ∑ n = − ∞ ∞ f ( n ) {\displaystyle \displaystyle \sum _{n=-\infty }^{\infty }f(n)} のような無限和の計算ができる。 例えば f(z) = z−2 ととる。N を整数とし、ΓN を正方形 [−N − 1/2, N + 1/2] × [−N − 1/2, N + 1/2] の周に反時計回りに向きを付けた閉路とする。 留数定理により、 1 2 π i ∫ Γ N f ( z ) π cot ( π z ) d z = Res z = 0 f ( z ) π cot ( π z ) + ∑ n = − N n ≠ 0 N n − 2 . {\displaystyle {\frac {1}{2\pi i}}\int _{\Gamma _{N}}f(z)\pi \cot(\pi z)\,dz=\operatorname {Res} \limits _{z=0}f(z)\pi \cot(\pi z)+\sum _{n=-N \atop n\neq 0}^{N}n^{-2}.} 左辺は N → ∞ のとき、0に収束する。なぜなら被積分関数のオーダーが O(N−2) だからである。 一方、 z 2 cot ( z 2 ) = 1 − B 2 z 2 2 ! + ⋯ ; B 2 = 1 6 {\displaystyle {\frac {z}{2}}\cot \left({\frac {z}{2}}\right)=1-B_{2}{\frac {z^{2}}{2!}}+\cdots ;\qquad B_{2}={\frac {1}{6}}} である。実際これは、z/2 cot(z/2) = iz/1 − e−iz − iz/2 と変形することで分かる(ベルヌーイ数を参照)。これより、留数 Res z = 0 f ( z ) π cot ( π z ) {\displaystyle \operatorname {Res} \limits _{z=0}f(z)\pi \cot(\pi z)} は −π2/3 に等しい。 以上より ∑ n = 1 ∞ 1 n 2 = π 2 6 {\displaystyle \sum _{n=1}^{\infty }{\frac {1}{n^{2}}}={\frac {\pi ^{2}}{6}}} であることがわかり、バーゼル問題の解法の一つが得られた。
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