例: 黒色腫のCox比例ハザード回帰分析
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/07 21:05 UTC 版)
「生存分析」の記事における「例: 黒色腫のCox比例ハザード回帰分析」の解説
この例では、Dalgaard第14章の黒色腫データセット(メラノーマ・データセット)を使用する。 データはRパッケージのISwRに含まれている。Rを使用したCox比例ハザード回帰で、次の図で示すような結果が得られる。 このCox回帰の結果は、次のように解釈される。 性別(Sex)は、数値ベクトル(1: 女性、2: 男性)としてコード化される。CoxモデルのR要約は、第1群に対する第2群の相対的なハザード比(hazard ratio、HR)、つまり男性対女性を示している。 coef = 0.662 は、男性対女性のハザード比の推定対数である。 exp(coef) = 1.94 = exp(0.662)。ハザード比の対数(coef = 0.662)は、exp(coef) を使用してハザード比に変換される。Coxモデルの要約では、第1群に対する第2群のハザード比、つまり男性対女性のハザード比が示される。推定されたハザード比は1.94で、このデータでは、男性の方が女性よりも命の危険が高い(生存率が低い)ことを示している。 se(coef) = 0.265 は、対数ハザード比の標準誤差(standard error)である。 z = 2.5 = coef/se(coef) = 0.662/0.265 となる。coef をその標準誤差で除すると zスコア が得られる。 p=0.013。性別の z=2.5 に対応する p値 はp=0.013 で、性別の関数として生存率に有意差があることを示している。 要約出力では、ハザード比の95%信頼区間の上限と下限も表示される。下側95%境界=1.15、上側95%境界=3.26。 最後に、モデルの全体的な有意性に関する3つの代替検定の p値 が出力される。 尤度比検定 = 6.15 on 1 df, p=0.0131 ワルド検定 = 6.24 on 1 df, p=0.0125 スコア(ログランク)検定 = 6.47 on 1 df, p=0.0110 これらの3つの検定は、漸近的に同等である。Nが十分に大きい場合、これらは同様の結果になる。Nが小さい場合、それらは多少異なる場合がある。最終行の「スコア(ログランク)検定」 は、ログランク検定の結果で、p=0.011 である。ログランク検定はCox PH回帰の特殊なケースなので、ログランク検定と同じ結果になる。尤度比検定は、サンプルサイズが小さいほど動作が優れているため、一般的にはこちらが好ましい。
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