低降水型(LP)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/11 08:08 UTC 版)
「スーパーセル (気象)」の記事における「低降水型(LP)」の解説
上昇気流域から離れた部分に弱い降水(雨や雹)があるスーパーセル。メインの上昇気流域では雲の筋が明瞭、螺旋の形、雲がほとんどなく消えてしまったような外観などの特徴が分かることがあり、区別できる。 ドライラインに沿ってできることが多く、上空では水平方向に強いウインドシアができているにもかかわらず水蒸気が少ないため、雲ができにくくセルも成長しにくい。急速に消滅することが多いが、稀に湿度の高い気団と衝突すると高降水型へと変質することがある。 降水に関しても、雹を降らせることは少なく、降ってもその大きさはおおむね1インチ(=約2.5cm)未満の霰とされる。竜巻を発生させることはあっても弱いことが多い。積乱雲の中心部分から進行方向の先端部にかけて、弱い竜巻や漏斗雲が見られることがある。ただ、強いものが発生することもある。降水量が少ないため、竜巻が発生しているにもかかわらず、フックエコーなどの竜巻を示唆するレーダーエコーが得られないこともあるため、竜巻被害は侮れないとされる。そのため、ストームスポッターやストームチェーサー(storm chaser)などが行う、現地での竜巻探査が重要となる。 雷は比較的少ないが、地上に落雷するものより雲の中で放電する雲間放電が多いと考えられている。 北米では、春から夏にかけての数ヶ月間、アメリカのロッキー山脈からミシシッピ川にかけての諸州やカナダのアルバータ・サスカチュワン両州などで多く発生する。 日本やヨーロッパなどでも、スーパーセルとみられる雷雨が観測されているが、竜巻研究の影響で観測が強化されているアメリカに比べると、精密な観測例は少ない。
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