伊賀章
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/23 09:49 UTC 版)
いが あきら
伊賀 章
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生誕 | 1949年![]() (現・高梁市) |
死没 | 2017年(68歳没) |
国籍 | ![]() |
出身校 | 関西大学 |
職業 | 研究者・実業家 |
著名な実績 | バースト誤り検出訂正の開発 FeliCaの発明・開発 |
肩書き | ソニー情報技術研究所長 ソニー常務執行役員 |
受賞 | 日本イノベーター大賞(第4回) |
伊賀 章(いが あきら、1949年(昭和24年)- 2017年(平成29年))は、研究者であり、実業家である。ソニー入社後、非接触カード(FeliCa)フェリカを開発・発明した。FeliCaは、iD決済やSuicaやPASMO等の交通系決済へ多く採用されている[1]。入退場管理や公共交通機関のチケットをICカード化しデジタル化した。岡山県高梁市出身の技術者。[2]
来歴・人物
生い立ち
1949年、岡山県上房郡有漢町(現・高梁市)で出生する。1964年(昭和39年)に地元の岡山県立高梁高等学校へ入学する[3]。同期には、東芝副社長を務めた田井一郎がいる。卒業後、1967年(昭和42年)関西大学に入学し、その後、1972年にソニーに入社する。
ソニー入社後
伊賀は研究部署に配属され、ここで非接触カード(FeliCa)を発明し、開発を主導した。現在でも、FeliCaシステムは、iD決済やSuicaやPASMO等の交通系決済へ多く採用されている[1]。世界で初めて入退場管理や公共交通機関のチケットをICカード化し、世の中のデジタル化に貢献した。また、電力を無線通信により供給する基本特許を取得、0.2秒以内に処理する仕組みを完成させている[2]。この功績により、1996年、ソニーのカードシステム事業室部長となり、2000年にはコーポレート・リサーチ・フェロー、2002年ユビキタス技術研究所長となった[2]。
東日本旅客鉄道(JR東日本)の「Suica」(スイカ)や ビットワレットの「Edy」(エディ)、NTTドコモやKDDIの決済機能つき携帯電話は、 いずれも基幹技術としてフェリカを採用している。
2003年には、コーポレート・リサーチ・フェロー、ユビキタス技術研究所長を兼務しながらソニーの業務執行役員常務となり、2005年には、スタジオジブリの鈴木敏夫、カーボンナノチューブを発見し、ノーベル賞の有力候補にもなっている飯島澄男、楽天の三木谷浩史についで第4回日本イノベーター大賞を受賞している[4]。
伊賀の開発したFeliCaは、後にソニーとフィリップスが共同で開発したNFC規格と互換性があり、FeliCaを独自開発したソニーの技術が国際規格であるNFCの確立に大きな影響を与えた。また、現在でも、日本国内のみならず、アジアなどの比較的人口が密集した地帯における交通網(電車・バス)の電子決済システムとして、決済速度の速さから多く導入されている。
伊賀は、2005年シニア・バイス・プレジデント、情報技術研究所長となる。2007年には、コーポレート・エグゼクティブSVP、情報技術研究所長、2008年には、業務執行役員SVP、コーポレート・フェローとなるが、2008年6月ソニーを退社する。[5]
伊賀はFeliCa以外にも、ソニー時代に音楽プレーヤー向けPCM(パルス符号変調)の技術開発に携わり、のちのCDやDATに応用されるバースト誤り訂正技術を開発しており、デジタル技術に与えた影響は大きい。その後、民生用のGPS受信機の開発に挑み、製品化にもこぎ着けている。
2017年(平成29年)に68歳で死去した。
略歴
- 1949年 - 岡山県上房郡有漢町(現・高梁市)で出生
- 1964年 - 岡山県立高梁高等学校へ入学
- 1967年 - 関西大学へ入学
- 1972年 - ソニー株式会社に入社
- 1996年 - カードシステム事業室部長
- 2000年 - コーポレート・リサーチ・フェロー
- 2001年 - インターネット研究所 コーポレート・リサーチフェロー(執行役員)
- 2002年 - ユビキタス技術研究所長
- 2003年 - ソニー業務執行役員常務
- 2005年 - 第4回日本イノベーター大賞受賞
- 2007年 - コーポレート・エグゼクティブSVP、情報技術研究所長
- 2008年 - 業務執行役員SVP、コーポレート・フェロー
- 2008年6月 - ソニー退社
- 2017年 - 死去
共著
- ディジタル・オーディオ,土井利忠との共著,ラジオ技術社
脚注
- ^ a b 日経クロステック(xTECH) (2009年12月1日). “第5回:蘇生したプロジェクト,「香港」に賭ける(上)”. 日経クロステック(xTECH). 2025年5月6日閲覧。
- ^ a b c 垂井康夫編「生活者の豊かさを創出したイノベーター」90ページ上部
- ^ 旺文社大学受験ラジオ講座テキスト 15(8), 旺文社, 1966年11月
- ^ “日本イノベーター大賞、2017年は「スタートアップ一色」。受賞した5人のイノベーターとは?”. THE BAKE MAGAZINE (2017年3月23日). 2025年5月17日閲覧。
- ^ 垂井康夫編「生活者の豊かさを創出したイノベーター」90ページ下部
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