他の同期軌道天体
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/21 16:31 UTC 版)
地球の同期軌道天体である小惑星クルースンはある意味トロヤ群天体に似た軌道で地球のそばを回っているが、トロヤ群と全く同じではない。むしろ、クルースンはある2つの太陽周回軌道の片方を占めていて、地球と接近遭遇することによって周期的に2つの軌道を乗り換えていると言うのが正しい。この小惑星は地球に近づくと地球から軌道エネルギーを得てより半径の大きなエネルギーの高い軌道に移る。しばらくすると、地球がこの小惑星に追いついて逆に小惑星からエネルギーを奪い、小惑星はより半径の小さく軌道周期の短い軌道に落ちる。そしてまた地球と遭遇して外側の軌道に移る、というサイクルを繰り返している。このエネルギーの移動によって地球の公転周期、つまり1年の長さはほとんど影響を受けない。これは地球の質量はクルースンの200億倍も大きいため。 土星の第10衛星ヤヌスと第11衛星エピメテウスも同様の関係にあるが、この2つの衛星はほぼ同じ質量なので実際に周期的に互いの軌道が入れ替わる(ヤヌスの方が約4倍重いが軌道が変わるには十分なほど軽い)。また別の同様の状況として軌道共鳴という現象がある。これは軌道運動をしている天体同士が相互作用によって単純な整数比の軌道周期を持つようになったものである。
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