二つのキューピッド
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/04 13:44 UTC 版)
1602年、『愛の勝利』が完成してすぐに、ヴィチェンツォの兄弟にあたり、ジュスティニアーニ家の絵画コレクションの収集者の一人でもあったベネデット・ジュスティニアーニ枢機卿は、当時著名であったジョヴァンニ・バリオーネに、絵画の制作を依頼した。こうして出来上がったバリオーネの『天上の愛と俗世の愛』は、「天上の愛」が、右下の角の地面に横たわる少年のキューピッド(俗世の愛)を、左角に位置するルシファーから引き離す構図となっている。この作品のスタイルは、完全にカラヴァッジョを模倣しており、バリオーネにとって教会からの注文に対する新たな競争相手として頭角を現し始めていたカラヴァッジョへの明らかな挑戦状であった。年少であったカラヴァッジョは、バリオーネの作品を目にして、盗作だと苦々しく抗議した。カラヴァッジョの友人の一人によってあざけられたバリオーネは、これに二つ目のバージョンで応じた。そこでは悪魔の顔がカラヴァッジョの顔になっていたのである。それからというもの、長く底意地の悪い諍いが始まった。カラヴァッジョは、彼の死後数十年間たって、まさかバリオーネが彼の最初の伝記作家となるとは、予想だにしなかったであろう。
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