与圧荷重による破壊
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/16 02:53 UTC 版)
「アロハ航空243便事故」の記事における「与圧荷重による破壊」の解説
搭乗者の安全と快適を確保するため、多くの航空機と同様に737型機の胴体は与圧されている。与圧とは、高空を飛行中に室内の気圧を高めることである。与圧された胴体は、内外の圧力差によって風船が膨むように外向きに強い荷重がかかる。与圧の荷重は地上の気圧下では消失する。したがって、飛行するごとに、一回ずつ与圧荷重が繰り返される。 旅客機の円筒形の胴体の場合、与圧による荷重は外板の円周方向にかかる。737型機のラップ・ジョイントでは、その荷重を主に接着で受け持つよう設計されていた。もしも接着が剥離すると、すべての荷重はリベットにかかる。737型機のラップ・ジョイントで用いられた枕頭リベット(頭部を埋め込むようにしたリベット)は機体表面を滑らかにでき空気力学面で有利だが、リベット孔に鋭角部があって、ここに応力が集中する。最大応力がかかるのは、外側に重ねられたパネルで3列のリベット列のうちの最上段の列だった。 与圧の繰り返しによって応力が繰り返され、やがて疲労亀裂が発生する。円周方向にかかる与圧荷重は、円筒軸方向に亀裂を成長させる。複数のリベット孔で発生した亀裂は与圧の繰り返しとともに成長し、やがて合体して大きな亀裂となる。このようなメカニズムによって737型機のラップ・ジョイントでも疲労亀裂が発生し成長したと推定された。
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