一代要記
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/11/04 01:28 UTC 版)
一代要記(いちだいようき)は、年代記の一つ。著者不詳。後宇多天皇の弘安年中(1278年-1287年)に成立し、鎌倉時代末から南北朝時代初期まで書き継がれた[1]。水戸徳川家による『大日本史』の史料探索中、延宝年間に金沢文庫本を発見し、10冊に書写して世間に流布した[1]。
春夏秋冬の全4冊から成り(流布本は10巻)、その内訳は春冊が神代 - 醍醐天皇、夏冊が朱雀天皇 - 高倉天皇、秋冊が安徳天皇 - 後嵯峨天皇、冬冊が後深草天皇 - 花園天皇となっているが、中間及び尾部を欠くため最後は明らかではない。
内容
内容は書名のとおり、各天皇ごとに諡号あるいは追号を掲げて、略歴や在位中の出来事の摘要を編年体で記し、さらに上皇、皇太子、後宮、斎宮、摂関、大臣、大納言、参議、蔵人頭、皇子女などの各項を設けて、該当者の人名を記している[1]。各天皇と皇子女が系線で結ばれ、一大皇室系図になっている特徴があるが、流布本の中には系線が略されているものもある。流布本の祖本である金沢文庫本は東山文庫に現存し、その断簡は高松宮が所蔵する[1]。
歴朝要紀
なお、高松藩主松平頼恕は国学者の友安三冬らに命じて、本書の後を継ぐ『歴朝要紀』を編纂させ、朝廷に献上した[2]。
公卿補任補闕
『公卿補任』は宝治元年(1247年)と建長4年(1252年)から正元元年(1259年)、および正中元年(1324年)のぶんは古くに失われていたが、正中元年を除く9年ぶんを、徳川光圀が一代要記にもとづいて『公卿補任補闕』を作成したことで補われた[3]。
写本、刊本
写本
刊本
脚注・参考文献
脚注
参考文献
- 今江広道「日本歴史「古典籍」総覧 一代要記」『別冊歴史読本 事典シリーズ』第6号、新人物往来社、1990年4月、230-233頁。*
- 冷泉家時雨亭文庫 編「解題」『豊後国風土記・公卿補任』朝日新聞社〈冷泉家時雨亭叢書 第47巻〉、1995年。
- 冷泉家時雨亭文庫 編『豊後国風土記・公卿補任』朝日新聞社〈冷泉家時雨亭叢書 第47巻〉、1995年。
- 梶原景惇 撰、松平頼恕 編『歴朝要紀 15巻 付録3巻』書写。
- 石田実洋他校注 『続神道大系』 朝儀祭祀編、神道大系編纂会、2005年。
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