ロシア金融危機とロングターム・キャピタル・マネジメント
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/03/23 05:14 UTC 版)
「裁定の限界」の記事における「ロシア金融危機とロングターム・キャピタル・マネジメント」の解説
シュライファーは自著の中でロングターム・キャピタル・マネジメント(LTCM)がロシア金融危機で多額の損失を出した事件は理論モデルの予想した結論と整合的であると述べている。 LTCMはヘッジファンドであり、レバレッジを効かせて途上国のハイイールド国債に対する裁定取引で利益を上げていた。しかし、1998年に起きたロシア金融危機により損失が拡大したことから、融資者より担保保全やマージンコールを迫られ、破たん直前の状況に陥った。LTCMの取引規模があまりに巨額であったため、ハードランディングをしてしまえば著しい景気悪化を招きかねないと危惧したFRBの主導の下、LTCMの主要な融資者からLTCMに救済融資が行われ、緩やかにLTCMを清算していく方法が取られた。結果としてLTCMは2000年までに救済融資を全額返済し、解散することになった。 この事件はシュライファーとヴィシュニーの論文で予期された潜在的に正のリターンが得られるような裁定ポジションであったとしても、金融危機においては清算されるという結果と整合的であるとシュライファーは結論付けている。
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