レディース・オブ・ザ・ロード
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『レディース・オブ・ザ・ロード』 | ||||
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キング・クリムゾン の ライブ・アルバム | ||||
リリース | ||||
録音 | ||||
ジャンル | プログレッシブ・ロック | |||
時間 | ||||
レーベル | ディシプリン・グローバル・モービル | |||
プロデュース |
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専門評論家によるレビュー | ||||
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キング・クリムゾン アルバム 年表 | ||||
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『レディース・オブ・ザ・ロード』(Ladies Of The Road)は、2002年に発表されたキング・クリムゾンの2枚組CDのライブ・アルバム。『キング・クリムゾン・コレクターズ・クラブ』が所有する1971年と1972年の録音から編集された[1][注釈 1]。
解説
背景
キング・クリムゾンは、デビュー・アルバム『クリムゾン・キングの宮殿』(1969年 )発表後のアメリカ・ツアー中に脱退を決意するオリジナル・メンバーが続出。ツアー終了後にはロバート・フリップ(ギター)とピート・シンフィールド(作詞、コンセプト作り)だけになった。両名は既に脱退を表明したメンバーやゲストの助けを借りてセカンド・アルバム『ポセイドンのめざめ』を1970年5月に発表した後、メル・コリンズ(サクソフォーン、フルート)ら3名の新メンバーに迎えて[注釈 2]、同年12月にサード・アルバム『リザード』を発表した。しかしライブ活動を再開しようとした矢先に、コリンズ以外の新メンバーが脱退[2]。そこでドラマーのイアン・ウォーレスとシンガーのボズ・バレル[注釈 3]を迎え、ギターが弾けるバレルにフリップとウォーレスが協力してベース・ギターを教えてベーシスト兼任にした[3]。
1971年4月フランクフルトのズーム・クラブで4回のコンサートを行ない[4]、1969年のアメリカ・ツアー以来となるライブ活動を開始した。彼等は5月から6月までと8月から10月末までの2度のイギリス・ツアー[5][注釈 4]、11月から約1か月間のアメリカ・カナダ・ツアー[6]を行ない、7月からは並行して新作『アイランズ』を制作した。しかし『アイランズ』の発表から間もない12月、シンフィールドがフリップと対立して解雇され、さらに年明けのリハーサルでフリップとコリンズら3人との間に対立が起こって[7]解散することになった。そして契約履行の為のアメリカ・ツアーを2月に開始し、それが終了した4月に解散した。
、フリップ(ギター、メロトロン)、コリンズ(サクソフォーン、フルート、メロトロン)、バレル(リード・ボーカル、ベース・ギター)、ウォーレス(ドラムス、バック・ボーカル)、シンフィールド(FOH・サウンド・エンジニアリング、VCS3・シンセサイザー、照明)は、内容
1971年5月から10月末までのイギリス・ツアー、11月から約1か月間のアメリカ・カナダ・ツアー、シンフィールドが去った後の4人編成による1972年2月から4月までのアメリカ・ツアーからの演奏が収録されている。
アルバム・タイトルの『レディース・オブ・ザ・ロード』は、イギリス・ツアーと並行して制作された『アイランズ』に収録された同名曲に由来すると考えられる。同曲はこれらのツアーで頻繁に演奏されたが、本作には収録されていない。
ジャケットはP.J.クルックの作品である。
Volume One: LADIES OF THE ROAD
録音年月日と場所および『キング・クリムゾン・コレクターズ・クラブ』から発表されたCD名[注釈 5]は以下のとおり。
- 1971年5月11日 プリマス プリマス・ギルドホール[8] – 『ライヴ・アット・プリマス・ギルドホール 1971』(2000年)
- 1971年11月13日 デトロイト イースタウン・シアター[9] – 『ライヴ・イン・デトロイト、MI 1971』(2001年)
- 1972年3月12日 デンバー サミット・スタジオ[10] – 『ライヴ・アット・サミット・スタジオ 1972』(2000年)
全9曲の内訳は以下のとおり。
- 『クリムゾン・キングの宮殿』(1969年)から2曲
- 『ポセイドンのめざめ』(1970年)から1曲
- 『リザード』(1970年)から1曲
- 『アイランズ』(1971年)から3曲
- シングルB面収録曲が1曲
- カヴァー1曲
ドノヴァン作の「ゲット・ザイ・ベアリングス」は1969年にもオリジナル・メンバーにより取り上げられた[注釈 6]が、本作ではシンフィールドを除く1971年のメンバーによる編曲となっている。
Volume Two: SCHIZOID MEN
4人編成による1972年のアメリカ・ツアーから、「21世紀のスキッツォイド・マン」の11の演奏のギターとサックスのソロ部分を繋ぎ合わせた"Schizoid Men 1-11"が収録された[注釈 7][注釈 8]。これらの演奏はカセット・レコーダーで録音されたものである[注釈 9]。
収録曲
Volume One: LADIES OF THE ROAD
- 冷たい街の情景 - Pictures of a City
- レターズ - The Letters
- フォーメンテラ・レディ - Formentera Lady (abridged)
- 船乗りの話 - The Sailor's Tale
- サーカス - Cirkus
- グルーン - Groon
- ゲット・ザイ・ベアリングス - Get Thy Bearings
- 21世紀のスキッツォイド・マン - 21st Century Schizoid Man
- クリムゾン・キングの宮殿 - The Court of the Crimson King
Volume Two: SCHIZOID MEN
- 1 - 11 スキッツォイド・メンPT.1 - PT.11 - Schizoid Men 1 - 11
参加ミュージシャン
- ロバート・フリップ – ギター、メロトロン
- メル・コリンズ – サクソフォーン、フルート、メロトロン
- ボズ・バレル – ベース、ヴォーカル
- イアン・ウォーレス – ドラムスVCS3
- ピート・シンフィールド – FDH サウンド、VCS3(Volume One)
脚注
注釈
- ^ ジャケットには『キング・クリムゾン・コレクターズ・クラブ』のロゴがある。
- ^ コリンズは『ポセイドンのめざめ』の制作にも参加していたが、同アルバムでは8名が現メンバー、旧メンバー、ゲストの区別なく記載されており、彼が正式メンバーとしての契約を既に結んでいたがどうかは明らかではない。
- ^ 当時のクレジットは、『ボズ』(”Boz”)。
- ^ 9月4日にはハイド・パークのフェスティバルに出演した。
- ^ 収録曲の幾つかは、これらのCDに収録された演奏が編集された短縮版である。
- ^ 『エピタフ -1969年の追憶-』に収録された。
- ^ 即興演奏に入る前の歌唱部分が'Schizoid Men 1'、11の即興演奏が'Schizoid Men 2'から'Schizoid Men 11'に収録されている。'Schizoid Men 11'には1分間の空白を挟んで2つの即興演奏が含まれている。
- ^ 『ライヴ・アット・ジャクソンヴィル 1972』(1998年)、『ライヴ・イン・オーランド、FL 1972』(2003年)、『ライヴ・イン・デンバー、CO 1972』(2007年)に収録された演奏が含まれる。
- ^ このツアーでの演奏を編集した1972年発表のライブ・アルバム『アースバウンド』には、"The recordings were captured live on an anpex stereo cassette fed from a Kelsey Morris custom built mixer..."と記された。
出典
- ^ ロバート・フリップ。本作ライナーノーツより。
- ^ Smith (2019), pp. 100–101.
- ^ Smith (2019), pp. 110–111.
- ^ Smith (2019), p. 113.
- ^ Smith (2019), pp. 114–119.
- ^ Smith (2019), pp. 122–124.
- ^ Smith (2019), p. 125.
- ^ Smith (2019), pp. 114–115, 486.
- ^ Smith (2019), p. 491.
- ^ Smith (2019), p. 496.
引用文献
- Smith, Sid (2019). In the Court of King Crimson: An Observation over Fifty Years. Panegyric. ISBN 978-1916153004
固有名詞の分類
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