リピドミクスによるアプローチ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/25 06:47 UTC 版)
「バイオマーカー (薬学)」の記事における「リピドミクスによるアプローチ」の解説
リピドミクスは脂質(リピド)の解析を意味する。脂質は特徴的な物理的性質を持つため、これまでは研究対象とすることが難しいとされてきた。しかし、測定環境の改善により、1つの試料からほとんどの脂質の代謝物を同定し、定量することが可能になってきた。脂質の解析には、質量分析法、クロマトグラフィー、核磁気共鳴分光法の3種類の鍵となる測定技術がある。質量分析法は、脂質抽出成分の高比重リポタンパク(HDL)粒子の濃度と構成を、冠動脈バイパス術を受けた患者と健常者の間で、相対的に比較するために用いられる。バイパス処置を受けた患者から採取されたHDL粒子中には、明らかにフォスファチジルコリンに対してスフィンゴミエリンの量が少なく、コレステロールエステルに対してトリグリセリドが多いことが知られている。またリピドミック・プロファイリングは、PPARγアゴニストであるロシグリタゾンの、マウスの脂質代謝への影響を調べるためにも使われる。ロシグリタゾンは色々な臓器で脂質の構成を変化させる。例えば、肝臓ではトリグリセリドの蓄積を増加させ、心臓と脂肪組織では遊離脂肪酸を変化させ、血漿中のトリグリセリドを減少させる。
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