モットーについて
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/17 15:13 UTC 版)
「交響曲第3番 (ブラームス)」の記事における「モットーについて」の解説
ブラームスは、第1番ではC-C#-D(ハ-嬰ハ-ニ)、第2番ではD-C#-D(ニ-嬰ハ-ニ)と、過去の2つの交響曲で統一的な基本動機を用いていたが、この曲では、基本動機からさらに一歩踏み込んだ形として、モットーを使用している。曲の冒頭で管楽器によって示されるF-A♭-F(ヘ-変イ-ヘ)がそれである。このモットーは第1楽章全体を支配し、他の楽章でもあちこちに顔を出す。それだけでなく、これまでの基本動機のように素材として展開されたり旋律を形作ることより、むしろ以下に述べるように、交響曲全曲の性格を決定づけるものとなっている。 モットーの音型について、ブラームスの友人であった伝記作者カルベックは、ブラームスが好んだという“Frei aber froh”(自由だが喜ばしく)という言葉の頭文字と結び付けている。この言葉は、ブラームスの親友ヨーゼフ・ヨアヒムのモットーである“Frei aber einsam”(自由だが孤独に)と対をなす合い言葉のようなものであったらしい(F.A.E.ソナタを参照)。とはいえ、交響曲の主調がヘ長調であるなら単純にF-A-Fとなるところを、ブラームスがあえてF-A♭-F(ドイツ語ではF-As-F)というヘ短調に属する音型を用いていることは注目される。ここから生じるヘ長調とヘ短調の葛藤は、全曲の性格に決定的な影響を与えている。
※この「モットーについて」の解説は、「交響曲第3番 (ブラームス)」の解説の一部です。
「モットーについて」を含む「交響曲第3番 (ブラームス)」の記事については、「交響曲第3番 (ブラームス)」の概要を参照ください。
- モットーについてのページへのリンク