ミルナーのK理論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/06 05:48 UTC 版)
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ミルナーのK-理論(Milnor K-theory)は、高次代数的K-理論を定義する初期の試みであり、 Milnor (1970) により導入された。
定義
体 F の K2 の計算により、ミルナーは「高次」K-群の次の定義を発見した。
このように、a ≠ 0, 1 により生成された両側イデアル(two-sided ideal)による乗法群 F× のテンソル代数の商の次数付き部分である。n = 0, 1, 2 に対しては、これらは体のキレン(Quillen)の K-群に一致するが、n ≧ 3 に対しては一般には同値にならない。記号 を の像として定義すると、n = 2 は、シュタインバーグの記号(Steinberg symbol)である[1]。
テンソル代数のテンソル積は、 を次数付き可換(graded-commutative)である次数付き環とする積 を導く[2]。
例
例えば、n ≧ 2; に対し、である。 は一意な非可算剰余群であり、 は一意的な非可算剰余群と位数 2 の巡回群の直和である。 は の乗法群と非可算な剰余群の直和である。すべての奇素数 に対し、位数 の巡回群と位数 2 の巡回群の直和である。
応用
ミルナーのK-理論は、高次類体論で基本的な役割を果たし、1-次元類体論では、 を変更する。
ミルナーのK-理論 modulo 2 は、k*(F) と書かれ、ミルナー予想により、体 F のエタールコホモロジーとガロアコホモロジーへ関連付けられる。この事実はウラジーミル・ヴォエヴォドスキーにより証明された。 ミルナー予想の一般化であるブロック・加藤の予想(ノルム剰余同型定理)は、ヴォエヴォドスキーにより証明された。この証明にはマーカス・ロストらの結果が重要な役割を果たしている[3]。
次のように記号を使うと、kn(F) から F のヴィット環(Witt ring)への準同型が存在する。
ここに像は、次元 2n のフィスター形式(Pfister form)である[1]。像は In/In+1 としてとることが可能で、写像はフィスター形式が加法的に In を生成するので全射である[4]。ミルナー予想は、これらの写像は同型であるということと解釈することができる。
参考文献
- Gille, Philippe; Szamuely, Tamás (2006). Central simple algebras and Galois cohomology. Cambridge Studies in Advanced Mathematics. 101. Cambridge: Cambridge University Press. ISBN 0-521-86103-9. Zbl 1137.12001
- Lam, Tsit-Yuen (2005). Introduction to Quadratic Forms over Fields. Graduate Studies in Mathematics. 67. American Mathematical Society. ISBN 0-8218-1095-2. MR 2104929. Zbl 1068.11023
- Milnor, John Willard (1970), With an appendix by J. Tate, “Algebraic K-theory and quadratic forms”, Inventiones Mathematicae 9: 318–344, doi:10.1007/BF01425486, ISSN 0020-9910, MR 0260844, Zbl 0199.55501
- Voevodsky, Vladimir (2011). “On motivic cohomology with -coefficients”. Annals of Mathematics 174 (1): 401–438. arXiv:0805.4430. doi:10.4007/annals.2011.174.1.11. MR 2811603.
進んだ文献
- Efrat, Ido (2006), Valuations, orderings, and Milnor K-theory, Mathematical Surveys and Monographs, 124, Providence, RI: American Mathematical Society, ISBN 0-8218-4041-X, Zbl 1103.12002
ミルナーの K-理論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/02/14 09:27 UTC 版)
「代数的K理論」の記事における「ミルナーの K-理論」の解説
詳細は「ミルナーのK-理論」を参照 体 k に対する K2 の上記の表現から、ミルナー(Milnor)は次の「高次」K-群の定義を導いた。 K ∗ M ( k ) := T ∗ ( k × ) / ( a ⊗ ( 1 − a ) ) . {\displaystyle K_{*}^{M}(k):=T^{*}(k^{\times })/(a\otimes (1-a))\ .} このように、 { a ⊗ ( 1 − a ) : a ≠ 0 , 1 } {\displaystyle \left\{a\otimes (1-a):\ a\neq 0,1\right\}} により生成された両側イデアルにより乗法群 k× のテンソル代数の商の次数付き部分として定義される。 n = 0, 1, 2 に対し、これらは以下に一致するが、n ≧ 3 に対しては、一般には異なっている。例えば、n ≧ 2 に対し KMn(Fq) = 0 であるが、奇数の n に対し KnFq は 0 ではない(以下を参照)。 テンソル代数上のテンソル積は、 K ∗ M ( F ) {\displaystyle K_{*}^{M}(F)} を次数付き可換(英語版)(graded-commutative)な次数付き環とするような積 K m × K n → K m + n {\displaystyle K_{m}\times K_{n}\rightarrow K_{m+n}} を導く。 K n M ( k ) {\displaystyle K_{n}^{M}(k)} の中の元 a 1 ⊗ ⋯ ⊗ a n {\displaystyle a_{1}\otimes \cdots \otimes a_{n}} の像は、記号として { a 1 , … , a n } {\displaystyle \{a_{1},\ldots ,a_{n}\}} と書かれる。k の中で可逆な整数 m に対して、写像 ∂ : k ∗ → H 1 ( k , μ m ) {\displaystyle \partial :k^{*}\rightarrow H^{1}(k,\mu _{m})} が存在する。ここに μ m {\displaystyle \mu _{m}} はある k の分離的拡大の単元の m-乗根を表す。これは、 ∂ n : k ∗ × ⋯ × k ∗ → H n ( k , μ m ⊗ n ) {\displaystyle \partial ^{n}:k^{*}\times \cdots \times k^{*}\rightarrow H^{n}\left({k,\mu _{m}^{\otimes n}}\right)\ } へ拡大され、ミルナーの定義関係式を満たす。従って、 ∂ n {\displaystyle \partial ^{n}} は、ガロア記号写像(Galois symbol map)と呼ばれる K n M ( k ) {\displaystyle K_{n}^{M}(k)} とみなすことができる。 体のエタールコホモロジー(あるいはガロアコホモロジー)とミルナーの K-理論(modulo 2)の間の関係は、ミルナー予想と呼ばれ、ウラジーミル・ヴォエヴォドスキー(Vladimir Voevodsky)により証明された。奇素数に対する類似な命題がブロッホ・加藤予想であり、ヴォエヴォドスキー、ロスト(Rost)、他により証明された。
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