マー伯が2つに分裂
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/03 14:51 UTC 版)
子供のない26代伯の死後、男系男子に限定されるケリー伯位は24代伯に遡っての分流であるウォルター・コニングスビー・アースキン(1810–1872)に継承されたが(12代ケリー伯)、マー伯位の方は継承者が不明になり、とりあえず26代伯の妹フランセス・アースキン(生年不詳-1842)とウィリアム・グッドイヴ(生年不詳-1861)の間の息子であるジョン・フランシス・アースキン・グッドイヴ=アースキン(1836–1930)が継承者と仮定された。しかし12代ケリー伯の息子である13代ケリー伯ウォルター・ヘンリー・アースキン(1839–1888)は、マー伯位はピーアリージ(peerage)の爵位ではなく、領土と不可分の爵位であるため、アレグザンダー・ステュアートの死後、その領土が王冠に返還された時点で廃絶しており、1565年に行われたマー伯位の回復とは、中世のマー伯の復活ではなく、ピーアリージの爵位として新規に与えられた物であり、したがって男系男子に限定される爵位と推測できるので自分がマー伯の継承者であると貴族院に請求した。一方グッドイヴ=アースキンは、そもそもジェイムズ1世はロバート・アースキンが継承すべきだったアレグザンダー・ステュアートのマー伯領を暴君的手法で不法に強奪したのであり、「本当のマー伯」たちもそれを主張し続けてきた。1565年のマー伯の回復は新規の創設ではなく、中世のマー伯位の復活させるものであると主張した。しかし1875年2月25日、貴族院の特権委員会は、マー伯位は1565年に新規に創設されたものとして12代ケリー伯にマー伯の継承資格を認めた。 しかしこの1875年の貴族院特権委員会の決定には批判が多く、1885年の議会法により是正が行われた。これにより中世からのマー伯位の方も存続しており、グッドイヴ=アースキンがその継承者であることが確認された。すなわち1565年にジョン・アースキンは中世からのマー伯位の復活を受けるとともにその数週間後に別のマー伯位を新規に授与されたと見做すことになった。 これ以降マー伯は、男子なき場合に女系継承が行われる中世からのマー伯と、男系男子に限定される1565年創設のマー伯の2つに分かれることになった。前者の現当主は第31代マー女伯爵マーガレット・アリソン・オブ・マー(英語版)(1940-)である。後者の現当主は第14代マー伯ジェイムズ・ソーン・アースキン(英語版)(1949-)である。マーガレットはマー氏族(英語版)、ジェイムズはアースキン氏族(英語版)の現在の族長(Chief)でもある。
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