マーラーの書き込み
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/18 02:46 UTC 版)
「交響曲第10番 (マーラー)」の記事における「マーラーの書き込み」の解説
この曲のスケッチには第3楽章以降、いたるところに妻アルマへ対する言葉が記されており、以下に主なものを挙げる。 第3楽章の標題ページの下の部分が切り取られており、アルマが切り取ったとされる。ここにはアルマにとって不都合なことが書かれていたと推定される。 第3楽章にはこのほか「死! 変容!」、「憐れみ給え! おお神よ! なぜあなたは私を見捨てられたのですか?」、「御心が行われますように!」などと書かれている。後の二つはマタイによる福音書から、十字架上のイエスの言葉の引用である。 第4楽章の表紙には「悪魔が私と踊る、狂気が私にとりつく、呪われたる者よ! 私を滅ぼせ、生きていることを忘れさせてくれ! 生を終わらせてくれ、私が……」、楽章の末尾には「完全に布で覆われた太鼓、これが何を意味するか、知っているのは君だけだ! ああ! ああ! ああ! さようなら、私の竪琴! さようなら、さようなら、さようなら、ああ、ああ、ああ」と書かれている。 第5楽章のコーダには「君のために生き! 君のために死ぬ! アルムシ!」と書かれている。アルムシ(Almschi)はアルマの愛称。 作曲当時、マーラーとアルマの関係はヴァルター・グロピウスの登場によって一気に緊張したものとなったが、これらの書き込みは、夫婦の危機に直面したマーラーの衝撃の大きさを示すとともに、このことが第10番の音楽にも反映されていると考えられる。とはいえ、作曲はグロピウスの事件までにも進んでいたのであり、第10番の構想をすべてこの事件に結びつけることはできない。
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