マンボウ科とは? わかりやすく解説

マンボウ科

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/18 08:05 UTC 版)

マンボウ科
マンボウ Mola mola
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
: フグ目 Tetraodontiformes
亜目 : フグ亜目 Tetraodontoidei
: マンボウ科 Molidae
学名
Molidae
Bonaparte, 1832

マンボウ科(Molidae)は、条鰭綱フグ目に分類される科。背鰭尻鰭の後端にあり、その後部が舵鰭という特殊な鰭になっている[1]。ウシマンボウは体長4.6メートル、体重2,700キログラムの記録があり、硬骨魚類では最も大きい体を持つ。

形態

ルイス・キャロルが撮影した骨格

椎骨は魚類の中でも少なく、マンボウではわずか16個である[1]尾骨は無く、硬骨魚だが骨格の大部分は軟骨である。皮膚に骨板は存在しないが、分厚く粗い。は持たない。

長大に発達した背鰭と臀鰭を羽ばたくようにして泳ぐ[2]。胸鰭は体の安定を保つ役割があると考えられる。口や鰓から水を噴射して推進力を得る[3]。咽頭歯を擦り合わせて音を出す。歯は上下に各一枚のみで、口を閉じることは出来ない[1]

生態

温帯から熱帯にかけての外洋に分布する[1]クラゲサルパ、小魚や甲殻類を捕食する[3]。皮膚の寄生虫掃除魚に除去してもらうことがある。また海面に浮かび、海鳥に寄生虫を除去してもらうこともある[2]

分類

以下のマンボウ属を除いた分類・英名はFishbase(2018)に従う[4]。マンボウ属の分類はSawai et al.,(2018)に従う[5]

  • ヤリマンボウ属 Masturus
    • Masturus lanceolatus ヤリマンボウ Sharptail mola - 全長3メートルほど。和名の由来は、舵びれの中央部が槍のように長くつき出ていることから。
  • クサビフグ属 Ranzania
    • Ranzania laevis クサビフグ Slender sunfish - 全長1メートルほど。やや体が細長く、楔(くさび)のような形をしているためこのような和名がある。

化石種

オーストリアトラウン近郊の漸新世の地層から発見された。ほぼ全身骨格が発見されており、全長は3メートルに達する。これは新生代の魚類化石としては最大のものである。系統的にはマンボウ属+ヤリマンボウ属の姉妹群になるとみられ、クサビフグよりこれらの種に近いと考えられている。この化石から、この時代には既に現代的なマンボウ型魚類が出現していたことが明らかとなった[7]
始新世中期に生息していた種である。

出典

  1. ^ a b c d 『小学館の図鑑Z 日本魚類館』485頁
  2. ^ a b Fothergill, A. (director), Attenborough, D. (narrator) (12 September 2001). Blue Planet, Seas Of Life Episode 3 (Television series). BBC Worldwide, Ltd. ISBN 0-563-38498-0
  3. ^ a b Matsuura, K. & Tyler, J.C. (1998). Paxton, J.R. & Eschmeyer, W.N.. eds. Encyclopedia of Fishes. San Diego: Academic Press. p. 231. ISBN 0-12-547665-5 
  4. ^ Froese, R. and D. Pauly. Editors. 2018. Family Molidae. FishBase. World Wide Web electronic publication. http://www.fishbase.org, version (02/2018).
  5. ^ Etsuro Sawai, Yusuke Yamanoue, Marianne Nyegaard, Yoichi Sakai, "Redescription of the bump-head sunfish Mola alexandrini (Ranzani 1839), senior synonym of Mola ramsayi (Giglioli 1883), with designation of a neotype for Mola mola (Linnaeus 1758) (Tetraodontiformes: Molidae)," Ichthyological Research, Volume 65, Issue 1, 2018, Pages 142-160.
  6. ^ Austromola in the Paleobiology Database
  7. ^ Ruzena Gregorova, Ortwin Schultz, Mathias Harzhauser, Andreas Kroh & Stjepan Ćorić (2009). “A giant early Miocene sunfish from the North Alpine Foreland Basin (Austria) and its implication for molid phylogeny”. Journal of Vertebrate Paleontology 29 (2). doi:10.1671/039.029.0201. 

参考文献

  • 中坊徹次『小学館の図鑑Z 日本魚類館』小学館、2018年。 ISBN 978-4-09-208311-0 

関連項目


マンボウ科

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フグ目」の記事における「マンボウ科」の解説

マンボウ科 Molidae はマンボウ・ヤリマンボウ・クサビフグなど、3属5種からなる世界中熱帯・亜熱帯海域外洋遊泳生活を送る。体長2m体重は1トン超える場合もある大型魚類である。 腹鰭はなく、背鰭臀鰭大きく発達している。体は側扁し、後半部分が断ち切られたような独特の体型をもつ。尾鰭失われており、代わりに背鰭臀鰭変化してできた舵(かじびれ)が存在する。口は小さく、両顎に歯板1枚ずつもつ。浮き袋側線を欠く。 クサビフグ属 Ranzania マンボウMola ヤリマンボウ属 Masturus

※この「マンボウ科」の解説は、「フグ目」の解説の一部です。
「マンボウ科」を含む「フグ目」の記事については、「フグ目」の概要を参照ください。

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