マグマの分化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/18 06:34 UTC 版)
橄欖岩中で生成した玄武岩質マグマは周囲の岩石より比重が軽いので徐々に上昇してゆく。火山の下にはマグマが集積したマグマ溜りがあって、マグマはそこで停滞する。この上昇・停滞中に、マグマの化学組成はさまざまに変化する。このプロセスをマグマの分化と呼ぶ。地下深部から上昇したマグマは周囲から徐々に冷やされて温度が下がってゆく。玄武岩質マグマは多様な成分を含んだ混合物なので、温度が低下するにつれて特定の成分が結晶を形成して固化する。固体化した結晶は一般的に液体部分より比重が高いので、マグマ溜りの底に沈降してゆく。結晶化した成分が抜けた後の液体部分は、本源マグマとは異なった化学組成となる。実際には、本源マグマからまず有色鉱物の橄欖石や輝石と無色の斜長石が晶出し、次に有色の角閃石と無色の正長石が析出してくる。これらの結晶が析出するにしたがってマグマ中の二酸化ケイ素の比率が上昇してゆく。 別の分化プロセスとして、高温のマグマ溜りが周辺の岩石を溶融させて混合する場合も考えられる。厚い地殻を有する大陸や日本列島では、玄武岩質マグマが熱源となって二酸化ケイ素に富んだ地殻成分を融解させ、混合して、多様なマグマを形成すると考えられる。
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