マイクロスケールの過程
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/01/21 11:12 UTC 版)
表面での前駆融解を引き起こしている分子間力と同じ分子間力が、形成されつつあるアイスレンズ底面側の分子スケールで凍上に寄与している。氷が微細な土の粒子を取り囲むと氷が前駆融解し、粒子を取り囲んでいる水の薄い膜の融解と再凍結による温度勾配の中で、土の粒子は下向きに温かい側へ向かって動かされる。そのような薄い膜の厚みは温度に依存しており、粒子の冷たい側の方が薄い。 水は、過冷却の液体の状態にあるときよりも、氷塊の状態にあるときの方が自由エネルギーは低い。従って、粒子の温かい側から冷たい側へ流れる水が補充され続け、それにより温かい側により厚い膜を再構築しようとして融解が続く。粒子は、Faradayが「熱的再凍結」(thermal regelation)と呼んだ過程の中で、温かい土に向かって下向きに移動する。この効果によってアイスレンズは土の粒子を追い出しながら成長し、純粋な氷となる。従って、温度勾配が1℃ km-1くらい低ければ、それぞれのマイクロメートル大の土壌粒子の周りを取り囲んでいる10ナノメートルの凍っていない水の膜が、その土壌粒子を一日に10マイクロメートルも移動させる事が出来る。アイスレンズが成長するにつれて、それが上に載っている土壌を持ち上げ、毛細管現象によりアイスレンズの水を凍結面に引き寄せつつ、下にある土壌は分離する。
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