ホンダ・インディV8エンジン
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ホンダ・インディV8[1][2] | |
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ホンダ・インディ HI7R V8(2007年仕様)
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概要 | |
製造会社 | HPD |
生産 | 2003年-2011年 |
レイアウト | |
構成 | V8 自然吸気, 90° |
排気量 | 3.5 L (214 cu in) (2003年, 2007年-2011年) 3.0 L (183 cu in) (2004年-2006年) |
シリンダー内径 | 93 mm (3.66 in) |
ピストン行程 | 64.4 mm (2.54 in) 55.2 mm (2.17 in) |
ブロック素材 | アルミニウム合金 |
シリンダーヘッド素材 | アルミニウム合金 |
動弁装置 | 32バルブ (1気筒あたり4バルブ), DOHC |
燃焼 | |
燃料系統 | 電子間接マルチポイントポート燃料噴射 |
制御 | モトローラ (2003年-2010年) マクラーレン (2011年) |
燃料種別 | 100%エタノール (スノコ) |
オイル系統 | ドライサンプ |
冷却系統 | シングルウォーターポンプ |
出力 | |
出力 | 670 hp (500 kW) (2003年-2006年) 650 hp (485 kW) (2007年-2009年途中) 650 + 20 hp (485 + 15 kW) プッシュ・トゥ・パス付き (2009年途中-2009年末) 650 + 40 hp (485 + 30 kW) プッシュ・トゥ・パス付き (2010年-2011年) |
トルク | 約434–488 N⋅m (320–360 ft⋅lbf) @ 10,300 rpm[3] |
寸法 | |
乾燥重量 | 280 lb (127 kg) (ヘッド、クラッチ、ECU、スパークボックス、フィルターを除く) |
時系列 | |
前身 | ホンダ・ターボ・インディV8 |
後継 | ホンダ・インディV6 |
ホンダ・インディV8(Honda Indy V8)は、ホンダ・パフォーマンス・ディベロップメントがイルモアと提携してインディカー・シリーズ向けに開発・製造した3 L、3.5 L自然吸気V8レーシングエンジンである[4]。
2003年から2011年までインディカー・シリーズで使用し、大成功を収めたエンジンであったが、翌年にはホンダ・インディV6に置き換えられた。ホンダ・インディV8は2002年のデトロイト・オートショーで発表され、カリフォルニア州サンタクラリタのHPD動力組立工場とミシガン州プリマスのイルモアで組み立てられた。
第1世代(2003年 - 2004年)
ホンダは、 CARTでの成功を経て、2003年にエンジンサプライヤーとしてインディカー・シリーズにデビュー。ホンダ・パフォーマンス・ディベロップメント (HPD)がイルモアの技術支援を受けて開発し、HI3Rと命名されたエンジンの排気量は3.5 Lで、HPDとイルモアは、チームに対してトラックサイドサポートとエンジン再構築サービスを提供し、ホンダは、アンドレッティ・グリーン・レーシング、チーム・レイホール、フェルナンデス・レーシング、アクセス・モータースポーツと各チームに供給した。2003年の成績は、ポールポジション3回、ファステストラップ6回、優勝2回だった。2004年には新しいレギュレーションが2004年のインディ500で施行されるまで、HI4Rと名付けられた改良型が使用された[5]。
第2世代(2004年 - 2006年)
ホンダは、2004年のIRLのルール変更で排気量削減が必要になったことに対応するため、新しいエンジンを設計した。イルモアによって再び開発され、HI4R-Aと命名され[6]、排気量は3.0 Lで、2004年のインディ500でデビューした[7]。その後、HI5RとHI6Rと名付けられた正常進化版で、ホンダエンジンは優位に立ち、3年でポールポジション33回、ファステストラップ35回、インディ500での3勝を含む優勝41回を記録。2005年シーズン終了後にシボレーとトヨタがインディカー・シリーズから撤退した為、ホンダは2006年から2011年までインディカー・シリーズのエンジン独占供給業者となった。
本エンジンは後にホンダ・イルモア・M-TECの3社によりカスタマイズを受け、2006年 - 2008年にかけてホンダ・HF386Eとしてフォーミュラ・ニッポンにも供給された[8]。
第3世代(2007年 - 2011年)
このファミリーは、HI6Rの後継として設計されたが、可変バルブタイミングとアクティブ燃料管理をより適切に収容できるように拡大され、優れたパフォーマンスを発揮するように拡大されていた。HI7R-HI11Rの排気量は、2007年より3.5 Lに戻した[9]。 HI7R-HI11Rエンジンは、カリフォルニア州サンタクラリタのホンダによって開発および組み立てられたが、部分的な設計R&D、トラックサイドサポート、エンジン配置、チューンアップ、およびエンジンメンテナンスについては、イルモアのサポートを受けていた。HI7R-HI11Rエンジンは、全てのチームに供給された。HI7R-HI11R は、2008年ニコンインディ300エキシビションレースとインディ500の5レースを含む、それぞれ86回のポールポジション、ファステストラップ、優勝を収めた唯一のエンジンであり、大きな成功を収めた。2008年から始まったインディカー・シリーズのシャシーとエンジン開発の凍結により、コスト面の理由から、ホンダ・インディV8の第3世代モデルが2011年まで維持された。ホンダ・インディV8の燃焼は、4ストロークピストンのオットーサイクルだった。
栄誉
2012年2月10日、ホンダ・インディV8はレースエンジンマガジン誌から「北米レースエンジン・オブ・ザ・イヤー」を受賞した[10]。
脚注
- ^ “Honda Engine Program :: IndyCar® Series” (2007年11月3日). 2007年11月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年5月13日閲覧。
- ^ “Honda Engine Program :: IndyCar® Series” (2006年4月26日). 2006年4月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年5月13日閲覧。
- ^ “Spicer Horsepower and Torque Calculator”. 2021年11月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年8月31日閲覧。
- ^ “Honda Newsroom”. 2025年5月13日閲覧。
- ^ “Indy: Honda's 2004 Engine”. HondaBeat.com (2004年9月10日). 2015年4月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年3月18日閲覧。
- ^ “2004 Indy 500: BorgWarner Louis Schwitzer Award Presented to Honda”. The Auto Channel (2004年5月21日). 2015年4月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年3月18日閲覧。
- ^ “Honda Unveils Stout Lineup to Defend IRL Titles”. Honda Motor Co. (2005年1月19日). 2015年4月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年3月18日閲覧。
- ^ 中嶋企画レースリポートFN第1戦
- ^ “IRL to revert to 3.5-litre engines”. Autosport (Autosport.com). (2006年8月31日). オリジナルの2014年4月24日時点におけるアーカイブ。 2006年8月31日閲覧。
- ^ “Honda Indy V8 Honored by Race Engine Magazine”. Honda Motor Company. (2012年2月10日). オリジナルの2013年3月8日時点におけるアーカイブ。 2012年2月10日閲覧。
外部リンク
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