ホウケイ酸ガラスの使用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/11 08:41 UTC 版)
やがてビーカーの原料に、化学薬品に強く、熱膨張率が低いために急な温度変化にも耐えやすい、ホウケイ酸ガラスが使用されるようになる。 1881年、初めてホウケイ酸塩ガラスを開発したのは、ドイツの化学者フリードリッヒ・オットー・ショットと物理学者のエルンスト・アッベである。当初は光学機器用のレンズに使用するためのガラス開発を行っていたが、作製したホウケイ酸塩ガラスが、光学機器用途だけでなく、化学実験室の過酷な環境にも適していると分かり、「イエナグラス」としてビーカーなどの実験器具に用いて販売した。イエナグラスは、第一次大戦まで市場で最高の製品だとみなされていた。 その後、1910年代初頭にアメリカのガラス会社コーニングが、自社製品であるホウケイ酸ガラスのNonexを使って、耐熱皿を作れないか研究を始め、安全のために鉛を除去したPyrex(パイレックス)を開発した。1916年から、Pyrexを用いた実験器具が販売されるようになり、化学物質への耐性に加え、熱衝撃と機械的ストレスに強いとして、すぐに科学界で人気のブランドになった。PyrexによるPYREX®ビーカーは2021年現在でも販売されており、日本のJIS規格に対応したビーカーもリリースされている。
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