ペランパネルとは? わかりやすく解説

ペランパネル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/15 03:10 UTC 版)

ペランパネル
IUPAC命名法による物質名
臨床データ
販売名 フィコンパ
ライセンス EMA:リンクUS FDA:リンク
胎児危険度分類
  • US: C
法的規制
  • JP: 習慣性医薬品、処方箋医薬品
  • UK: 処方箋のみ (POM)
  • US: Schedule III
薬物動態データ
生物学的利用能 116%[1]
血漿タンパク結合 95–96%
代謝 主に肝臓で CYP3A4 、 CYP3A5により代謝される。
半減期 105 時間, 肝機能が低下している場合 295 時間
排泄 糞中 70% , 尿中 30%
識別
CAS番号
380917-97-5 
ATCコード N03AX22 (WHO)
PubChem CID: 9924495
IUPHAR/BPS 7050
ChemSpider 8100130 
UNII H821664NPK 
KEGG D08964  
ChEBI CHEBI:71013 
ChEMBL CHEMBL1214124 
PDB ligand ID 6ZP (PDBe, RCSB PDB)
別名 E2007
化学的データ
化学式 C23H15N3O
分子量 349.384 g/mol
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ペランパネル(: Perampanel)とは、エーザイが開発したAMPA型グルタミン酸受容体非競合型拮抗薬であり[2]、抗てんかん薬として日本では2016年製造販売が認可された[3]。商品名フィコンパで販売されている。2016年6月には東京大学のグループが同薬がALSの治療薬としても発症原因に根ざした、高い治療効果があると発表し、2016年6月28日付けの英国科学誌「Scientific Reports」に掲載された[4]。2020年7月6日、小児、高齢者が服薬しやすいように配慮した細粒剤の剤形が追加された(2020年1月23日製造販売承認、2020年4月23日薬価収載)[5]。2022年8月、新投与経路医薬品として注射剤の追加を申請している。

概要

日本では「他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の部分発作および強直間代発作に対する抗てんかん薬との併用療法」として2016年3月28日に承認された[3]。海外では、欧州(2012年7月)、米国(2012年10月)で承認されて以降、2015年10月までに世界29カ国で承認されている[3]。 2016年6月、東京大学のグループがALSの治療薬としても高い効果が期待できると発表した[4][6]。ALSに関しては2017年4月からに日本国内で治験が開始された[7][8]。2017年頃から、ラフォラ病、ランス・アダムス症候群などの皮質ミオクローヌスの治療に有効であるという報告が集まってきている[9][10][11][12]

2022年8月、注射剤の追加申請を行っている[13]

作用機序

グルタミン酸によるAMPA(α-amino-3-hydro-5-methyl-4-isoxazolepropionic acid)受容体刺激シグナルを選択的かつ非競合的に阻害することで神経の興奮、てんかん症状を抑制する[14]

副作用

臨床試験では約70%に副作用が認められた[3][15]。主な副作用は浮動性めまい、傾眠などであり、重大な副作用として攻撃性などの精神症状があらわれることが報告されている[3][15]

剤形

  • 錠剤 - 2016年3月28日製造販売承認、2016年5月25日薬価収載[16]
  • 細粒 - 2020年1月23日製造販売承認、2020年4月23日薬価収載[5] 
  • 注射剤 - 新投与経路医薬品として追加申請中

脚注

  1. ^ Yang, X; Wu T-C; Yuxin Men A; Lee J-Y; Bhattaram VA; Mehta MU. U.S. FDA Clinical Pharmacology Review. Fycompa™ (perampanel). p. 25. http://www.fda.gov/downloads/Drugs/DevelopmentApprovalProcess/DevelopmentResources/UCM332052.pdf. 
  2. ^ Chong, DJ; Lerman, AM (April 2016). “Practice Update: Review of Anticonvulsant Therapy.”. Current neurology and neuroscience reports 16 (4): 39. doi:10.1007/s11910-016-0640-y. PMID 26984292. 
  3. ^ a b c d e “AMPA受容体を阻害する新機序の抗てんかん薬”. 日経メディカル. (2016年4月8日). https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/series/drug/update/201604/546461.html 2016年12月18日閲覧。 
  4. ^ a b “東大、既存の抗てんかん薬を用いたALSの新規治療法 - マウスで有効性確認”. マイナビニュース. (2016年6月28日). https://news.mynavi.jp/techplus/article/20160629-a414/ 2016年12月18日閲覧。 
  5. ^ a b 抗てんかん剤「フィコンパ®」(一般名:ペランパネル水和物)日本において新剤形となる細粒剤を新発売”. www.eisai.co.jp. エーザイ株式会社 (2020年7月6日). 2021年5月22日閲覧。
  6. ^ 東京大学公式サイト
  7. ^ 東京医科大学神経内科「孤発性筋萎縮性側索硬化症に対するペランパネルの第Ⅱ相臨床試験」
  8. ^ 一般社団法人日本ALS協会公式サイト>IBCグラント研究奨励/郭伸先生との懇談のご報告
  9. ^ Goldsmith D, Minassian BA. Efficacy and tolerability of perampanel in ten patients with Lafora disease. Epilepsy Behav 2016;62:132-135
  10. ^ Crespel A, Gelisse P, Tang NP, et al. Perampanel in 12 patient swith Unverricht-Lundborg disease. Epilepsia 2017;58:543-547
  11. ^ Steinhoff BJ, Bacher M, Kurth C, et al. Add-on perampanel in Lance-Adams syndrome. Epilepsy Behav Case Rep 2016;6:28-29.
  12. ^ Shiraishi H, Egawa K, Ito T, et al. Efficacy of perampanel for controlling seizures and improving neurological dysfunction in a patient with dentatorubral-pallidoluysian atrophy (DRPLA).Epilpsy Behav Case Rep 2017;8:44-46.
  13. ^ 抗てんかん剤「フィコンパ®」、日本において新投与経路医薬品として注射剤の追加を申請 | ニュースリリース:2022年”. エーザイ株式会社. エーザイ株式会社 (2022年8月30日). 2022年12月23日閲覧。
  14. ^ French JA, et al. Adjunctive perampanel for refractory partial-onset seizures : randomized phase III study 304. Neurology;2012(79):589-596.
  15. ^ a b エーザイ公式サイト>ニュースリリース2012年10月28日
  16. ^ 社創製の新規抗てんかん剤「フィコンパ®」(一般名:ペランパネル水和物)日本において、てんかんの部分発作および強直間代発作に対する併用療法の適応で新発売”. エーザイ (2016年5月25日). 2022年12月25日閲覧。

関連項目


ペランパネル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/22 15:50 UTC 版)

ランス・アダムス症候群」の記事における「ペランパネル」の解説

2017年ごろからペランパネルが有効であるとの報告集まってきており、完治例も報告されている。 2021年4月京都大学グループ気管支喘息発作により低酸素脳症になりランス・アダムス症候群になったケース対し発症11年経過後に、2022年3月には北里大学グループ縊首ランス・アダムス症候群になったケースに対して発症1年6ヵ月経過後に、それぞれペランパネルを投与し動作ミオクローヌス有意改善し立位保持が可能となった症例報告する等、慢性期症例に対して改善認められたとする症例報告増えている。

※この「ペランパネル」の解説は、「ランス・アダムス症候群」の解説の一部です。
「ペランパネル」を含む「ランス・アダムス症候群」の記事については、「ランス・アダムス症候群」の概要を参照ください。

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