ベイジアン均衡点
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 17:01 UTC 版)
詳細は「ベイジアンゲーム」を参照 上記の解概念はいずれも完備情報ゲームにおけるそれであった。これに対して、あるプレイヤーが他プレイヤーの利得関数などを正確に知っていないようなゲームは不完備情報ゲーム(英: games of incomplete information)と呼ばれる。不完備情報ゲームを分析する際に用いられる解概念のひとつがベイジアン均衡点であり、ジョン・ハルサニによって創始された。このクラスのゲームにおいて、不完備情報である利得関数や戦略などを総称してタイプ(英: type)と呼び、 c = ( c 1 , . . . , c n ) {\displaystyle {\boldsymbol {c}}=(c_{1},...,c_{n})} などで表す。一般に、「他プレイヤーのタイプに関する不完備情報(英: incomplete information)」を「自然手番(英: nature's moves)に関する不完全情報(英: imperfect information)」へと理論的に変形することによって、任意の不完備情報ゲームはベイジアンゲーム(英: Bayesian games)と呼ばれる完備情報不完全情報ゲームに変換することが可能である。ベイジアンゲームにおいてプレイヤーは意思決定に際してベイジアン仮説(英: Bayesian hypothesis)に従うと仮定される。すなわち、各プレイヤー i {\displaystyle i} は自身のタイプ c i {\displaystyle c_{i}} を所与として主観的確率分布 p i ( c − i | c i ) {\displaystyle p_{i}(c_{-i}|c_{i})} を持ち、この確率分布 p i {\displaystyle p_{i}} の下で利得の期待値を最大化するように行動すると仮定される。この「事前確率に対しては全てのプレイヤーが共通の信念を持っている」という仮定によって、ベイジアンゲームでも通常のゲームと同様にナッシュ均衡を分析することが可能となる。このように定義されるベイジアンゲームのナッシュ均衡がベイジアン均衡点である。すなわち、ベイジアン均衡点(英: Bayesian equilibrium point)とは ∀ i , ∀ c i , ∀ π i , E [ f i ( π ∗ | c i ) ] ≥ E [ f i ( π i , π i ∗ | c i ) ] {\displaystyle \forall i,\forall c_{i},\forall \pi _{i},E[f_{i}(\pi ^{*}|c_{i})]\geq E[f_{i}(\pi _{i},\pi _{i}^{*}|c_{i})]} を満たす戦略の組 π ∗ = ( π 1 ∗ , . . . , π n ∗ ) {\displaystyle \pi ^{*}=(\pi _{1}^{*},...,\pi _{n}^{*})} として定義される。この定義は、ベイジアン均衡点 π ∗ = ( π 1 ∗ , . . . , π n ∗ ) {\displaystyle \pi ^{*}=(\pi _{1}^{*},...,\pi _{n}^{*})} ではどのプレイヤー i {\displaystyle i} も自身がいかなるタイプ c i {\displaystyle c_{i}} であっても自分以外のプレイヤーの行動選択が均衡 π ∗ {\displaystyle \pi ^{*}} に従う限り、均衡から逸脱することによって条件付き期待利得を増加させることができないことを意味している。
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