ヘルマの破壊
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/04 04:52 UTC 版)
長い準備の後、艦隊は出港準備を整えた。出航の前日に、誰かが市中に幸運の印として置かれているヘルマ(ヘルメースの胸像が乗っている長方形の柱)を多数破壊した。この事件は遠征に対する悪い予兆であり、また政府転覆の企てであるとして深刻に捉えられた。プルタルコスによると、アルキビデアスの政敵であるアンドロクレスが偽の証人を使って、これはアルキビアデスとその支持者の仕業であると訴えた。アルキビアデスは無実を証明するために、自発的に自身を死刑と求刑する裁判を求めたが(彼の不在の間に政敵が偽の情報をもって訴訟することを避けるためでもあった)、この訴えは退けられた。 アルキビアデスは他の点では非常に人気があり、軍全体の支持を得ていた。また遠征準備期間中にアルゴリスとマンティネイアからの支援も得ていた。結局彼は告訴されず、艦隊は翌日に出帆した。彼の対抗勢力は、しかしながら、アルキビアデスの出発を待って告訴を行った。陸軍が主たる彼の支援者であり、陸軍の遠征中に裁判を行えば、数的に有利になると考えたためである。
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