ブルガリア・レフとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > ブルガリア・レフの意味・解説 

レフ (通貨)

(ブルガリア・レフ から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/08 14:29 UTC 版)

ブルガリア・レフ
български лев  (ブルガリア語)
The first Bulgarian banknote, 1885.
ISO 4217
コード
BGN
中央銀行 ブルガリア国立銀行
 ウェブサイト www.bnb.bg
使用
国・地域
 ブルガリア
固定レート ユーロ (€) = 1.95583 レフ
補助単位
 1/100 ストティンカ
通称 kint[1]
複数形 levove, numeric: leva
 ストティンカ ストティンキ
硬貨 1, 2, 5, 10, 20, 50 ストティンキ, 1, 2 レフ
紙幣 5, 10, 20, 50, 100 レフ
硬貨鋳造 ブルガリア造幣局
 ウェブサイト www.mint.bg

レフlevブルガリア語лев) 複数形:レヴァlevaлева )は、1881年から使用されているブルガリア通貨単位。国際通貨コード(ISO 4217)は、BGN。補助通貨単位はストティンカ(stotinka、複数形:stotinki ストティンキ)で、1レフ=100ストティンキ。

2026年1月1日を以って、ユーロに置き換え、廃止される予定である。

概要

1997年よりドイツマルクを基軸通貨とする固定相場制(当時は1000レフ=1マルク)を採用。欧州通貨統合により基軸通貨はユーロとなり、€1=1.95583レヴァ固定[2]

19世紀頃のブルガリア語では、レフは獅子という意味を持っていた(現代ブルガリア語では、獅子はルフ(luv、ブルガリア語:лъв)である)。これはオランダターラー銀貨をもとに発行されていたライクスダアルダー(rijksdaalder)という大型銀貨に由来する。ライクスダアルダーはライオンの像を彫っており、それゆえリューエンダーラー(leeuwendaler、ライオン・ドル)という別名があった。リューエンダーラーがオスマン帝国領内に流通し、ブルガリアやルーマニアではライオンが銀貨の別名になった。

1999年7月5日、デノミネーションが実施され、1,000旧レヴァは1新レフと同等の価値とされた。デノミネーション前の旧レフの国際通貨コードは、BGLである。このとき、ドイツ・マルクとは1レフ=1マルクのペッグとなった。この年の1月1日に電子計算上でのユーロが導入され、1.95583レフ=1.95583マルク=1ユーロとなった。

2020年7月10日、クロアチア・クーナと同時にERM2加盟が承認された[3]。交換レートは維持された。

2022年5月27日、ブルガリア政府は2024年からのユーロ導入の計画を承認し[3]ユーロ硬貨のデザインも決定していたが、収斂基準の一つであるインフレーション率の基準を満たすことが出来ておらず[4]、ユーロ導入は早くても2026年頃となる見通しである[5][6]

2025年2月24日、政府が自国がインフレ基準を満たしたと判断したことを受けて、閣僚会議は欧州委員会および欧州中央銀行に対して臨時の収束報告書を正式に要請する決定を採択した[7]。翌2月25日、ブルガリア国立銀行と財務省は、その報告書を正式に要請する書簡を送付した[8]。6月4日、欧州委員会と欧州中央銀行の収斂報告レポートで、2026年にユーロを導入する全ての基準を満たしたことが示された[9][10][11]。7月8日、欧州議会でブルガリアのユーロ導入に関する投票が行われ、参考的意見に過ぎないものの、圧倒的多数の賛成(賛成531票、反対69票、棄権79票)で支持された[12]。また、同日欧州理事会でブルガリアのユーロ導入に関する最終措置を採択し、2026年1月1日からのユーロ使用を確定した[13]

硬貨と紙幣

現在流通している硬貨は、1, 2, 5, 10, 20, 50ストティンキ, 1, 2レフの8種類である。50ストティンキ以下の硬貨は1999年に、1レフ硬貨は2002年に、2レフ硬貨は2015年に発行が開始された。材質は、1, 2, 5ストティンキがメッキ鋼鉄(ただし発行初年の1999年のみ銅・アルミニウムニッケルの合金)、10, 20, 50ストティンキが銅・ニッケル・亜鉛の合金、1レフが外周黄銅・内側白銅バイメタル貨、2レフが外周白銅・内側ニッケル黄銅のバイメタル貨となっている。

現在流通している紙幣は、5, 10, 20, 50, 100レフの5種類である。このシリーズは1999年に発行が開始されたが、100レフ紙幣のみは2003年に発行が開始された。このシリーズの紙幣は、左側に人物肖像が描かれ、右側に透かしが入っている。このシリーズの紙幣が発行開始された当初は、1, 2レフの紙幣も発行されていたが、これら2種類は後に同額面の硬貨に取って代わられ、1レフ紙幣は2016年1月1日、2レフ紙幣は2021年1月1日に流通停止となり、現在は金融機関での交換のみ認められている。

脚注

  1. ^ The nickname for lev can be both kint (masc) and kinta (fem), inflected accordingly for plurals and numerical values (kinta, kinti); stotinka – which literally simply means hundredth (diminutive) – is usually shortened to stinka.
  2. ^ Bulgaria needs a managed floating exchange rate” (英語). iki.bas.bg. 2025年6月9日閲覧。
  3. ^ a b ブルガリア政府、24年1月のユーロ導入計画承認 議会審議が課題”. ロイター (2022年5月30日). 2023年1月8日閲覧。
  4. ^ 2024年6月の時点では収斂基準の1.5pp以内に対し、ブルガリアはおよそ3.3pp。
  5. ^ ロイター編集「ブルガリアのユーロ導入、数カ月後ずれも=中銀総裁」『Reuters』2024年4月19日。2024年6月20日閲覧。
  6. ^ Bulgaria Euro Adoption Faces Further Delay Amid Political Fragmentation”. Fitch Ratings. 2024年7月12日閲覧。
  7. ^ “Bulgaria claims it is fully ready to adopt the euro” (英語). Euractiv. (2025年2月26日). https://www.euractiv.com/section/politics/news/bulgaria-claims-it-is-fully-ready-to-adopt-the-euro/ 2025年6月6日閲覧。 
  8. ^ Request for Convergence reports” (英語). bntnews.bg. 2025年6月6日閲覧。
  9. ^ Bulgaria meets criteria to join the euro area on 1 January 2026” (英語). European Commision. 2025年6月6日閲覧。
  10. ^ Convergence Report” (英語). European Central Bank. 2025年6月6日閲覧。
  11. ^ ロイター編集「欧州委とECB、ブルガリアのユーロ導入承認 26年から」『Reuters』2025年6月5日。2025年6月6日閲覧。
  12. ^ Parliament endorses Bulgaria’s adoption of the euro” (英語). European Parliament. 2025年7月8日閲覧。
  13. ^ Bulgaria ready to use the euro from 1 January 2026: Council takes final steps” (英語). European Commision. 2025年7月8日閲覧。

関連項目

いずれもレフと同じ「獅子」という意味の通貨を使用している。

外部リンク




英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  
  •  ブルガリア・レフのページへのリンク

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ブルガリア・レフ」の関連用語

ブルガリア・レフのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ブルガリア・レフのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのレフ (通貨) (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS