フーリンの彷徨
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/18 14:22 UTC 版)
こうしてトゥーリン・トゥランバールは死んだが、モルゴスのハドルの族に対する彼の悪意はまだ満足していなかった。フーリンの妻は気狂いとなって荒野を彷徨い、息子と娘は非業の死を遂げたにも関わらず、彼はまだフーリンに敵意ある仕打ちをしようと考えていた。フーリンは不幸な運命にあった。彼はモルゴスの呪いの成果を、かの暗黒の王の歪んだ眼と耳を通じて、まざまざと見せつけられたからである。そしてモルゴスはシンゴルとメリアンによって成された全てのことに、邪悪な光を投げかけようと努力していた。というのも、彼は二人を憎み恐れていたためである。そして時至れりと考えた彼は、フーリンの子らが死んでから一年後、フーリンを束縛から解放し、何処へでも好きな処に行って良いと告げた。モルゴスはこの行為を、打ちのめされた敵に対しての、寛容さによるもののように装ったが、実の所彼の目的は、フーリンへのさらなる悪意のためであった。フーリンは、モルゴスの言うこと成すことは何であれ殆ど信じなかったが、冥王の嘘にひとしおの怨みを懐きつつ、彼は悲しみのうちに出立した。 フーリンがアングバンドに囚われていた期間は28年にも及び、解放された時には彼は60歳となっていたが、彼の負うた悲しみの重さにも関わらず、今なお彼の中には強い力が秘められていた。
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