フーズゲン反応
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/07 05:03 UTC 版)
「クリックケミストリー」の記事における「フーズゲン反応」の解説
アルキンとアジド化合物が付加環化反応を起こし、1,2,3-トリアゾール環を作ることは1961年にロルフ・フーズゲンによって報告されている。 シャープレスはこの反応を、クリックケミストリーの中心的な反応として位置づけた。これは以下の理由による。 アルキン、アジドは多くの有機化合物に導入容易な官能基であり、基本的に安定である(アジドの爆発性には注意を払う必要がある)。 アルキン、アジドはその他の官能基とほとんど反応せず、お互いだけと反応する。 この反応は多くの有機溶媒や、水中でも進行する。 この反応は銅(I)イオンの存在下で100万倍ほど加速する。しかしエントロピー的に有利であれば、銅イオンがなくとも十分速く進行する。 普通は位置選択性が低いが、銅イオン存在下では1,4-二置換体が選択的に生成する。 生成した1,2,3-トリアゾールは安定な官能基であり、再び分解することがない。 収率よく進行し、再結晶やカラムクロマトグラフィーなどの精製操作を必要としない。 余分な廃棄物を出さない。 これらの特徴により、この反応はクリックケミストリーの理想に最も近い反応と見なされている。またこの反応は、他に水や多官能性分子(タンパク質など)があっても問題なく進行することから、生化学方面への応用も可能となっている。
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