フランスで注目されたフィルム・ノワール
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/06 03:15 UTC 版)
「フィルム・ノワール」の記事における「フランスで注目されたフィルム・ノワール」の解説
新しいアメリカ映画の傾向を分析したフランスの批評家ニーノ・フランクが、そうした一群の映画を「フィルム・ノワール Film Noir」と呼んだ。 ノワール Noir は英語の「ブラック(黒)」で、当時のフランスでは老舗出版社ガリマール社が刊行を開始した大衆犯罪小説のシリーズ「ロマン・ノワール Roman Noir (暗黒小説)」が人気を集めており、このシリーズの特徴だった悲観的なトーンがよく似ていることから名づけられた呼び名である。さらにさかのぼればこの「暗黒小説」の名称は、犯罪を主要な題材としていたウージェーヌ・シュー『パリの秘密』のような19世紀の風俗小説の呼び名から採られていた。 ニーノ・フランクが取り上げた作品は『マルタの鷹』のほかエドワード・ドミトリク『ブロンドの殺人者』、オットー・プレミンジャー『ローラ殺人事件』、フリッツ・ラング『飾窓の女』(いずれも1944)、のちにフランクに続いて最初に「フィルム・ノワール」の呼び名を使用したジャン=ピエール・シャルティエは、これらのほかビリー・ワイルダー『失われた週末』(1945)を取り上げている。 ここで取り上げられた映画作品がいずれも光と影のコントラストを強調しており、画面が以前のアメリカ映画よりもはるかに黒々として見えたことから、「ノワール(黒)」の呼び名は新しい映画の動きをよく言い当てているとも受け止められ、やがてフィルム・ノワールという名前はアメリカを含む世界各国に広まってゆくことになった。
※この「フランスで注目されたフィルム・ノワール」の解説は、「フィルム・ノワール」の解説の一部です。
「フランスで注目されたフィルム・ノワール」を含む「フィルム・ノワール」の記事については、「フィルム・ノワール」の概要を参照ください。
- フランスで注目されたフィルムノワールのページへのリンク