ファインマン伝播関数
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/30 08:52 UTC 版)
「自己エネルギー」の記事における「ファインマン伝播関数」の解説
フェルミ粒子の2点相関関数、すなわちファインマン伝播関数に対して、自己エネルギーによる補正を加えるためには、全ての可能なダイアグラムを足し上げればよい。 ∫ d 4 x ⟨ Ω | T ψ ( x ) ψ ¯ ( 0 ) | Ω ⟩ e i p ⋅ x = {\displaystyle \int d^{4}x\langle \Omega |T\psi (x){\bar {\psi }}(0)|\Omega \rangle e^{ip\cdot x}=} ここで、最右辺の第1項が自由な伝播関数、それ以降の項は自己エネルギーの両端にフェルミ粒子の伝播関数がついた1粒子既約、2粒子既約…のダイアグラムを表す。この式はファインマンルールを用いて計算され、フェルミ粒子の運動量をp、裸の質量をm0とすると、 ∫ d 4 x ⟨ Ω | T ψ ( x ) ψ ¯ ( 0 ) | Ω ⟩ e i p ⋅ x = i p / − m 0 + i ϵ + i p / − m 0 + i ϵ ( − i Σ ( p / ) ) i p / − m 0 + i ϵ + ⋯ = i p / − m 0 − Σ ( p / ) + i ϵ {\displaystyle {\begin{aligned}\int d^{4}x\langle \Omega |T\psi (x){\bar {\psi }}(0)|\Omega \rangle e^{ip\cdot x}&={\frac {i}{p\!\!/-m_{0}+i\epsilon }}+{\frac {i}{p\!\!/-m_{0}+i\epsilon }}(-i\Sigma (p\!\!/)){\frac {i}{p\!\!/-m_{0}+i\epsilon }}+\cdots \\&={\frac {i}{p\!\!/-m_{0}-\Sigma (p\!\!/)+i\epsilon }}\end{aligned}}} となる。この式は、元々は裸の質量m0の位置にあった伝播関数の極が、自己エネルギーによってシフトしていることを表している。従って、物理的な質量mを求めるためには、方程式 [ p / − m 0 − Σ ( p / ) ] | p / = m = 0 {\displaystyle \left.\left[p\!\!/-m_{0}-\Sigma (p\!\!/)\right]\right|_{p\!\!/=m}=0} を解けばよく、質量のシフトは δ m = m − m 0 = Σ ( p / = m ) {\displaystyle \delta m=m-m_{0}=\Sigma (p\!\!/=m)} と表せる。実際に自己エネルギーから質量シフトを計算すると、運動量カットオフΛと微細構造定数αを用いて、 δ m = 3 α 4 π m 0 log ( Λ 2 m 0 2 ) {\displaystyle \delta m={\frac {3\alpha }{4\pi }}m_{0}\log \left({\frac {\Lambda ^{2}}{m_{0}^{2}}}\right)} となり、対数の紫外発散(英語版)となっていることが分かる。
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