ビルでの増殖
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/13 18:13 UTC 版)
かつての日本家屋では、天井に営巣するクマネズミと、台所や下水道に穴居するドブネズミが、生活の場を棲み分けていた。ハツカネズミはもともと他の2種と比べると少ない。 その後、第二次世界大戦後の都市化とともに、地下街や下水道など湿った場所を好むドブネズミが勢力を伸ばしたが、1970年ごろから、高層建築物の建築ラッシュとともに、乾燥した高いところを好み登攀力に優れ、配管等を伝ってフロア間を自由に行き来することができるクマネズミが目立ち始めた。 東京都内での調査によると、ネズミ関連の相談件数で種の断定ができたものの9割以上がクマネズミであり、住宅の屋根裏などに住むネズミの殆どがクマネズミとなっており、都会の高層階でもクマネズミが大量発生している。 クマネズミは他のネズミと比較し、捕獲籠などへの警戒心を強く持っており、発見しても捕獲しにくく、駆除が困難である。殺鼠剤に対しても、もともと警戒心を持っており食べにくく、また食べたとしても薬剤耐性のある肝臓の毒代謝能力が高い為に、死ににくいものが多く現れており、駆除が難しくこれも増加の一因となっている。 ビル内は、1年中温度が一定に保たれているため、冬でも盛んに繁殖し、東京都区部では特に夏期に繁殖活動が上昇しており、主要都市を中心に、ビル内でクマネズミが増殖し続けている。ただし、例外的に北海道札幌市では衰退しつつあり、日本の他の都市と比べて、道路幅が広いことから都市の区画間の移動が阻まれ、遺伝的な交流が妨げられているのではないかという仮説が提唱されている。
※この「ビルでの増殖」の解説は、「クマネズミ」の解説の一部です。
「ビルでの増殖」を含む「クマネズミ」の記事については、「クマネズミ」の概要を参照ください。
- ビルでの増殖のページへのリンク