ヒ素中毒の治療
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/22 07:18 UTC 版)
ヒ素に結合するキレート剤は3つ存在する。ジメルカプロール (British Anti-Lewisite, BAL), succimer (DMSA)、そして Unithiol (DMPS) である。 これらの試薬のチオール基の硫黄原子がヒ素との相互作用部位である。これは、ヒ素原子が求電子性であるのに対し、チオール基が求核性であるためである。いったんキレート剤に結合すると分子は排泄され、無機ヒ素は体内から除去される。 他のキレート剤を用いることも可能ではあるが、より多くの副作用が生じる可能性がある。また、DMPS と DMSA は BAL よりも治療指数が大きい。 これらの薬剤は、ヒ素の急性中毒に対して有効である。急性中毒とはヒ素中毒によって即座に現れる影響のことであり、頭痛、嘔吐、発汗などが共通してみられる症状である。それと比較して、慢性的な毒性の影響は、器官の傷害など思わぬ形で遅れて現れ、多くの場合、一度症状が現れると手遅れである。そんため、急性毒性症状が現れたらできるだけ早く処置が行われるべきである。
※この「ヒ素中毒の治療」の解説は、「ヒ素の生化学」の解説の一部です。
「ヒ素中毒の治療」を含む「ヒ素の生化学」の記事については、「ヒ素の生化学」の概要を参照ください。
- ヒ素中毒の治療のページへのリンク