パナマ‐そう〔‐サウ〕【パナマ草】
パナマソウ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/28 22:45 UTC 版)
パナマソウ | |||||||||||||||||||||
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パナマソウ
(Wikimedia Commonsより) |
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分類(APG IV) | |||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||
Carludovica palmata Ruiz & Pav. | |||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||
Panama hat palm |


パナマソウ(学名:Carludovica palmata[1])はパナマソウ科パナマソウ属の大型の多年生草本。属名Carludovicaはスペインのカルロス4世とルイサ王妃を記念して命名され[2]、種小名palmataは掌状の葉形に由来する[3]。
特徴
高さ3 mほど。葉の見かけはヤシに似るが、パナマソウ科はヤシ目ではなくタコノキ目に分類される。地上茎はほとんどなく、長さ1–2 mの葉柄が地面から出て、その先に長さ1 mほどで濃緑色の葉身をつける。葉身は2–4つの扇型に大きく裂け、各裂片はさらに裂けて掌状になり、先端は垂れ下がる。花期は夏とされるが、花は1日で散る。肉穂花序に多数の雌花と、各雌花を取り囲むように4つずつの雄花をつける。不稔の雄しべは白く長い紐状で、開花後に長く垂れ下がり、1日経つと地面に落下する。秋に熟すると個々の果実が分かれて鮮赤色の内側を見せる[4][5][6][7][3]。
開花時の雄しべの様子が素麺に似るとして、これに因む期間限定商品が植物園のレストランで販売された事例がある[8][9][10]。
分布と生育環境
中米メキシコ南東部~南米北部のペルー、ボリビア、ブラジル北部原産。西インド諸島に移入[11]。半日陰で多湿環境を好み、原産地では水辺によく生育する[2]。
利用
重要な繊維源植物。未展開の若い葉身を細裂し、煮沸、漂白、乾燥し、パナマ帽の材料とする[4][5][12][13][3]。繊維が柔らかく丈夫であるため、帽子以外にもバッグや手芸品、シーツ、カーペットなど様々な製品へ加工される[2][7]。
熱帯では地植え可能だが、越冬には最低気温13–15℃以上を要するため、温帯では温室内で栽培する[14]。繁殖は実生による。2–3年で鑑賞可能なサイズまで生長する[2]。
脚注
- ^ “Carludovica palmata”. YList 植物和名-学名インデックス. ylist.info. 2025年1月28日閲覧。
- ^ a b c d (佐々木 1970, pp. 60–62)
- ^ a b c (沖田原 2021, p. 53)
- ^ a b (コーナー 1969, p. 1026)
- ^ a b (白井 1980, p. 93)
- ^ (ハメル 1997, p. 101)
- ^ a b (日本インドア・グリーン協会 2020, p. 67)
- ^ “花が“そうめん”にしか見えない植物が話題…そして散った後は“とうもろこし”!? 植物園に聞いた|FNNプライムオンライン”. FNNプライムオンライン (2020年7月19日). 2025年1月28日閲覧。
- ^ “「パナマソウめん」8月15日(木)より新発売!|公園へ行こう!”. www.tokyo-park.or.jp. 2025年1月28日閲覧。
- ^ “神代植物園でパナマソウめん”. 多摩めぐりブログ (2024年9月30日). 2025年1月28日閲覧。
- ^ “Carludovica palmata Ruiz & Pav.” (英語). Plants of the World Online. Kew Science. 2025年1月28日閲覧。
- ^ (熱帯植物研究会 1996, p. 532)
- ^ (レウィントン 2007, p. 137)
- ^ (Brickell 1996, p. 230)
参考文献
- コーナーE.J.H. 著、渡辺清彦 訳「パナマソウ Carludovica palmata」『図説熱帯植物集成』廣川書店、東京都文京区、1969年、1026頁。
- 佐々木尚共「南方植物雑記(6)パナマソウ」『熱帯林業』第0巻、第16号、60-62頁、1970年。doi:10.32205/ttf.0.16_60。ISSN 2434-6381 。
- 白井祥平『沖縄園芸植物大図鑑』 2巻《観葉植物(上)》、沖縄教育出版、那覇市、1980年。
- Brickell, Christopher, ed. (1996), “Carludovica palmata”, RHS A-Z encyclopedia of garden plants, United Kingdom: Dorling Kindersley, p. 230, ISBN 0751303038
- 熱帯植物研究会 編「パナマソウ Carludovica palmata」『熱帯植物要覧』(第4版6)養賢堂、東京都文京区、1996年。 ISBN 492439503X。
- バリー・ハメル 著「パナマソウ」、岩槻邦男ら監修 編『朝日百科 植物の世界』 11巻、朝日新聞社、東京、1997年、101頁。 ISBN 9784023800106。
- レウィントン・アンナ 著、光岡祐彦ほか 訳「パナマ帽」『暮らしを支える植物の事典』八坂書房、東京都千代田区、2007年。
- 日本インドア・グリーン協会『熱帯植物図鑑』誠文堂新光社、東京都文京区、2020年。 ISBN 9784416918852。
- 沖田原耕作『おきなわの園芸図鑑 園芸植物とその名前』新星出版、那覇市、2021年。 ISBN 9784909366832。
外部リンク
- パナマソウ GKZ植物事典
- パナマソウ 咲くやこの花館
- パナマソウ 水戸市植物公園
- パナマソウ 山科植物資料館
- パナマソウ 筑波実験植物園
- 京都府立植物園 見ごろの植物情報 平成21年10月16日 パナマソウ 京都府立植物園
- 16時過ぎのパナマソウの様子 神代植物公園ニュース x.com 2024-07-10
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