ハーバード大学基金
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/21 13:46 UTC 版)
「ハーバード大学」の記事における「ハーバード大学基金」の解説
アメリカの大学は、一般的に学生の払う学費と富裕層からの寄付金、そして、その運用益などで大学を運営している。 ハーバード大学は、ハーバード大学独自の大学基金を持ち、2020年6月現在、その基金残高は約4兆4000億円 (419億ドル)ほどである。これは全米でトップの規模を誇り、その次を、イェール大学など他の有名大学が追う展開となっている。ハーバード大学はその大学基金を厳格に管理し、一年間に基金から取り崩せる金額を最大で基金残高の5%程度までと制限している。そして、ハーバード大学の運営予算の35%をその大学基金が支えている。 また、ハーバード大学は大学の教育機関でありながら資産運用にも積極的で、その資産運用の業務を「ハーバード・マネジメント・カンパニー」が担っている。その運用責任者には投資において高度な専門知識と経験をもつプロの人材を雇い、完全実力主義でその大学基金の運用業務を任せていく。もし運用責任者が高い運用成績を残せなければ、ハーバード大学はその責任者を容赦なく解雇していき、そして、別の新たなプロの人材を雇って運用業務を任せていく。このようなシビアなことはハーバード大学に限らず、他の大学にも普通に見られ、アメリカの各大学は、教育・研究と同様に、自分たちの大学基金の運用成績を互いに競い合っているのが現状である。そこには、アメリカの大手金融機関やヘッジファンドも絡むので、マーケットの世界ではアメリカの大学の動向はニューストピックスにもよく取り上げられる。 2020年のハーバード大学基金の投資運用先は、上場株式…18.9%、プライベートエクイティ(未上場株式)…23.0%、ヘッジファンド…36.4%、不動産…7.1%、資源…2.6%、債券…5.1%、その他不動産…1.3%、現金…5.6%、と多岐にわたる。そして、2020年に実現したハーバード大学基金の運用利回りは、上場株式…12.2%、プライベートエクイティ(未上場株式)…11.6%、ヘッジファンド…7.9%、不動産…▲0.5%、資源…▲6.2%、債券…8.2%、その他不動産…▲17.5%、利回りの合計…7.3%であった。このようにハーバード大学は、幅広く分散投資をしてリスクを抑え、全体で高い利回り、リターンを狙っていくという投資スタンスを基本戦略としている。
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