ノアの呪いについて
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/10 15:36 UTC 版)
「ハム (聖書)」の記事における「ノアの呪いについて」の解説
『創世記』第9章でなぜノアが悪さをした「ハム」本人ではなく、その子供の「カナン」を呪ったかについては諸説ある。 著名なものが「ハムは近親関係なので直接呪えなかった」とするもので、例として前述のヨセフスの『ユダヤ古代誌』第I巻vi章解説では「彼(ノア)との近親の関係のゆえにハム自身に対してではない」とあり、カナン以外の子孫については「(本来はハムの子孫全員に対する呪いだが)他の子供は呪いから逃れた」としている。 これ以外の説では「ハム=カナン」とするものがあり、セム・ハム・ヤペテは元々パレスチナ周辺しか知らない頃のヘブライ人たちによる「ヤハウェの民・カナン人・ペリシテ人」の先祖を指していて、ノアの呪いの言葉は紀元前12世紀頃の「内陸から勢力を広げたイスラエル人たちと海を渡ってきたペリシテ人によってカナン人を圧迫していたが、イスラエルとペリシテの勢力はまだ住み分けていて平和的だったころ。」を指していて、元来の話では9章後半部は18節-19節の系譜説明や22節の「カナンの父ハム」といった系譜説明的な部分がなく「カナンが悪さをして子々孫々呪われた」というシンプルな内容だったが、後世になってヘブライ人の世界観が地中海世界にまで二次的に広がり、第10章(世界観が広がった後の加筆とする)にあるように地中海各地の民族をハムとヤペテに結び付けたことで「ハムの子のうちなぜかカナン系統だけが呪われる」という不自然な流れになり、ペリシテ人もハム系(しかし呪われてはいない)とされるようになったというものである。
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