ノアの方舟に乗らないユニコーン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 00:52 UTC 版)
「ユニコーン」の記事における「ノアの方舟に乗らないユニコーン」の解説
ユニコーンは飼い馴らしのきかない、たいへん凶暴な、無敵の、それゆえに自らの力を過信する傲慢な野獣だった。ユダヤ神話系の話が残る東欧の民話には高慢な性格のユニコーンが出てくる。その一つのポーランド民話ではユニコーンは大洪水以前の動物とされている。 ノアがあらゆる獣のつがいを方舟に入れた時、ユニコーンもまた受け入れた。ところがユニコーンは他の獣を見境もなく突いたので、ノアは躊躇なくユニコーンを水の中に投げ込んだ。だから今ではユニコーンはいない。--『ポーランド民話』 小ロシア民話でもユニコーンはこれと似たようなことをしている。自らの傲慢さのために自滅してしまうのである。 ノアが全ての獣を方舟に受け入れたとき、獣達はノアに服従した。ユニコーンだけがそうしなかった。ユニコーンは自らの力を信じ、「私は泳いでみせる」と言った。四十の昼と夜の間、雨が降った。鍋の中のように水は煮え立ち、あらゆる高みが水に覆われた。そして方舟の舷側にしがみついていた鳥たちは、方舟が傾くと沈んでしまうのであった。しかし、かのユニコーンは泳ぎに泳いでいた。だが鳥達がユニコーンの角に止まったとき、ユニコーンは水中に没してしまった。だからユニコーンは今日ではもう存在しないのだ。--『小ロシア民話』 1576年に印刷された絵入り聖書にトビーアス・シュティマー(Tobias Stimmer, 1539 – 1584)が描いた木版画には、ユニコーンのつがいがその高慢さから、方舟に背を向けて、あとに残る様子が描かれている。
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