ヌクレオソームスライディング
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/15 08:06 UTC 版)
「ヌクレオソーム」の記事における「ヌクレオソームスライディング」の解説
Bradburyの研究室によって、5S DNA上に再構成されたヌクレオソームは熱を加えることで近接配列へ移動して再配置されることが示された。その後の研究では、この再配置にはヒストン八量体の解体は必要なく、ヌクレオソームはDNAに沿ってシスに「スライド」することが示された。さらに2008年には、CTCF結合部位がヌクレオソームの配置のアンカー部位として機能することが明らかにされ、さまざまなゲノムシグナルの解析の際のアラインメントに利用することで、隣接して位置する複数のヌクレオソームに関する情報を容易に得られるようになった。ヌクレオソームは本質的に動きやすいものであるものの、真核生物はクロマチン構造を変化させるためにATP依存性クロマチンリモデリング酵素の大きなファミリーを進化させており、その多くはヌクレオソームスライディングを利用する。2012年、Beena Pillaiの研究室はヌクレオソームスライディングが大規模な組織特異的な遺伝子発現の機構の1つである可能性を示した。この研究では、特定の組織で発現している遺伝子の転写開始部位にはヌクレオソームが存在しないが、その遺伝子が発現していない他の組織ではヌクレオソームが結合していることが示された。
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