ドーパミン仮説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/08 18:58 UTC 版)
中脳辺縁系におけるドーパミンの過剰が、幻覚や妄想といった陽性症状に関与しているという仮説。実際にドーパミンD2受容体遮断作用をもつ抗精神病薬のクロルプロマジンが、陽性症状に有効であるため提唱された。しかし、ドーパミン遮断剤投与後、効果が現れるのが長期修正を暗示させる7日から10日後であること、ドーパミン受容体は後方細胞だけでなく前方細胞にも存在すること、またドーパミンD2ファミリーに異型が発見されたことにより、臨床医や神経生物学者からは批判も多い。 生物学研究では、皮質下のDA受容体密度の増加による受容体感受性の高まり(ドーパミンの過剰ではない)を暗示する研究も存在するが、むしろ前頭葉や前部帯状回などで、ドーパミン受容体結合能の低下を示唆する研究の方が多い。 近年、ドーパミンをコントロールする抗精神病薬の副作用で、脳が萎縮するという研究結果が開示された。 ドーパミン作動性の薬剤は、統合失調症の陽性症状を誘発することが分かっている。覚醒剤は、統合失調症の陽性症状に類似した症状を誘発させる。これは薬物誘発性の覚醒剤精神病であり、統合失調症ではない。
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