ディジット (企業)とは? わかりやすく解説

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ディジット (企業)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2015/08/20 07:24 UTC 版)

株式会社ディジット
Digit, Inc.
種類 株式会社
市場情報
ヘラクレス(廃止) 4786 2000年9月14日 - 2001年7月26日
本社所在地 日本
100-0011
東京都千代田区内幸町1-3-6
設立 1996年12月2日
業種 情報・通信業
事業内容 出版、インターネットサービス、デジタルコンテンツの製作・販売
代表者 代表取締役社長 嬉野勝美
資本金 4億2100万円(2000年12月末日時点)
売上高 15億1300万円(2000年12月期)
従業員数 52名(2000年12月末日時点)
決算期 12月末日
特記事項:2001年8月1日、株式会社ブレーンドットコムと合併し解散。
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株式会社ディジット英称Digit, Inc.)は、かつて存在した日本の出版社インターネットサービス企業である。

概要

1996年の設立当初より印刷媒体と電子媒体隊の双方を対象としたコンテンツ企画立案を掲げており[1]、実態としては出版社でありながらもインターネット・バブル期にはインターネット関連企業として評価されていた[2]。また、雑誌が対象とする業界に精通した企業との協業することで、雑誌の創刊を短い時間で行うことも特徴とした[3]。解散前の2001年の時点で、関連会社を含め、月刊誌4誌に加え、別冊扱いで年間に十種類以上の雑誌を発行していた[4]

沿革

1996年12月に三井物産が91%、大日本印刷が5%、リクルート出身の取締役嬉野勝美が4%を出資して資本金2億円で設立された[5]。翌1997年に創刊したアメリカのパソコン雑誌『HOMEPC』(ホームピーシー)の日本語版と、1999年創刊のアイドルグラビア誌『iCupid』(アイキューピッド)を経営の2本柱として事業を進めていたが、1998年12月期に1億円を超える債務超過となる[5]。債務超過となった理由は、雑誌創刊の初期投資がかさんだためとされている[5]。三井物産のルールでは、債務超過の関連会社には追加投資や人員増は行えなかったため、1999年、嬉野がマネジメント・バイアウト(MBO)を行って三井物産の所有株を買い取り独立、同時に嬉野が社長に就任した[6][5]。債務超過だったため、買い取り額は2千万円ほどだったという[5]

2000年9月14日にナスダック・ジャパンに上場。日本の大手企業からMBOで分社したベンチャー企業で初めての株式公開となった[7]。上場時の時価総額は、67億2千万円と、MBO時の2千3百万円から約3百倍にもなり、ディジットはMBOの成功例と言われた[8]。しかし、デジットの株式は業績の拡大期待から買われたが、上場時に黒字の見通しを示していた2000年12月期の連結営業損益は赤字となった[9]。ウィット・キャピタル証券のアナリストは「他社との提携に積極的で企画力はあるが、その後の事業推進能力に欠ける」と指摘している[9]

2001年8月にソフトバンクグループ傘下の就職情報会社ブレーンドットコムと合併した[10]。ブレーンドットコムが存続会社となり、ディジットは解散したが、嬉野が社長に就任するなど、新会社の経営陣は旧ディジットがメインとなった[4]。ディジット、ブレーンドットコムともに赤字企業であったが、合併後の初年度に黒字化する見通しを示していた[11]。しかし、合併後、ネットと雑誌メディアが融合した情報ビジネスを掲げて、急速な事業拡大を目指したものの、黒字化の目途は立たず、合併から1年後の2002年8月に嬉野を社長から降格、ソフトバンク・インベストメント出身の社長に交代し、ソフトバンクグループの主導で経営再建を進めることとなった[12]

年表

主な発行雑誌

  • HOMEPC+Net(パソコン)
  • iCupid(アイドルグラビア)
  • icareer(就職情報)
  • iWedding(結婚情報、発行元は関連会社の創造生活)

関連会社

  • アイ・マネー株式会社 - 宝印刷等との共同出資で、同名のマネー情報サイトを運営[15]
  • 創造生活株式会社
  • 株式会社ユニークデジタル
  • 株式会社アイ・タウン - 東芝との合弁会社。
  • 株式会社デジコード[16]

など

関連項目

脚注

  1. ^ “三井物産、コンテンツ企画で新会社、まず米パソコン誌日本版-電子媒体にも配信”. 日本経済新聞 (日本経済新聞社): p. 13. (1997年2月17日) 
  2. ^ 「ニュービジネス ディジット 出版とネットを結び新ビジネスの展開狙う」、『週刊東洋経済』第5607号、東洋経済新報社2000年1月15日、 116頁。
  3. ^ “ディジット(4786)有力企業との提携でCD-ROM付き情報誌をスピード創刊”. FINANCE Watch (インプレス). (2000年9月19日). http://www.watch.impress.co.jp/finance/report/articles/000919-2.htm 2015年8月13日閲覧。 
  4. ^ a b 森永卓郎 「勝手にIT革命!―アイドル+パソコンでマニア需要増幅 vsディジットブレーン社長・嬉野勝美」『ニッポン経済 勝手に構造改革』 日本経済新聞社、2001年、215-235頁。ISBN 4-532-19089-4
  5. ^ a b c d e 「時流超流・トレンド 人ニュース〜物産からMBO、ディジット嬉野氏の凄腕  1年で株式公開、21世紀は大企業からの独立組に期待か」、『日経ビジネス』第1058号、日経BP社2000年9月18日、 14頁。
  6. ^ “企業訪問・ディジット”. 読売アドリポート・オッホ. http://adv.yomiuri.co.jp/ojo/02number/200106/06kigyo.html 2014年4月22日閲覧。 
  7. ^ “ディジット、公募価格40万円に、国内MBOで初の公開”. 日本経済新聞 (日本経済新聞社): p. 18. (2000年9月7日) 
  8. ^ “MBO大幅増加へ、経営権取得し独立、株式公開で値上がり益も”. 日本経済新聞 (日本経済新聞社): p. 23. (2001年2月5日) 
  9. ^ a b “ディジット(4786)、業績修正で売り、値つかず”. 日経金融新聞 (日本経済新聞社): p. 31. (2001年2月14日) 
  10. ^ “ブレーンドットコム、ディジットと8月に合併。「365@」関連サービスを終了”. Venture Now. (2001年6月11日). http://www.venturenow.jp/venturenews/vn20010611-05hk.html 2014年4月21日閲覧。 
  11. ^ “8月合併のディジットとブレーンコム「中期は強気」多く”. 日経金融新聞 (日本経済新聞社): p. 16. (2001年4月20日) 
  12. ^ “ディジットブレーン、林取締役が昇格、嬉野社長は降格(社長交代)”. 日経産業新聞 (日本経済新聞社): p. 31. (2002年7月29日) 
  13. ^ “ホリプロなど、アイドルタレントのストリーミングコンテンツ ネット、CS、雑誌によるメディアミックス展開”. Internet Watch. (1999年7月27日). http://internet.watch.impress.co.jp/www/article/1999/0727/icupid.htm 2014年4月21日閲覧。 
  14. ^ “イートレードとディジットがナスダックJに上場へ”. FINANCE Watch. (2000年8月11日). http://www.watch.impress.co.jp/finance/news/2000/08/11/doc165.htm 2014年4月21日閲覧。 
  15. ^ “ダイジェストニュース”. INTERNET Watch. (2000年3月16日). http://internet.watch.impress.co.jp/www/digest/backno/0003/16.htm 2014年4月23日閲覧。 
  16. ^ “インターネット・バーコード事業の新会社「株式会社デジコード」 ソフトバンク・インベストメント、ディジットなどが設立”. INTERNET Watch. (2001年4月3日). http://internet.watch.impress.co.jp/www/article/2001/0403/digico.htm 2014年4月23日閲覧。 

外部リンク




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