チョンバッグ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/03 06:53 UTC 版)
さらに、上記鞄潰しの流行に合わせて、いわば、潰し鞄をシンプルに既製品として販売したものとして、チョンバッグ(またはチョンバック、チョンバンなど。)と呼ばれる学生鞄も市販された。チョンバッグは、上記の一般的な革製の手提げ鞄とは大きく異なり、販売時から、もとよりマチが数cm程度しかなく、既に潰し癖がついている薄い手提げ鞄である。主に黒色の人工皮革製で、収納スペースがほとんどなく、学用品を恒常的に入れることはほぼ想定されていない。前面と後面に縫い付けられた、長めの二本の持ち手があり、持ち手が金属で補強されることはなく、かぶせやベロ革もなく、内部のポケットも基本的になく、上部のファスナーで開閉し、ほぼ単一の収納スペースのみの極めてシンプルな構造で軽いものである。変形学生服販売メーカーなどから販売され、変形学生服のブランド名の刻印等がされるものもあり、変形学生服とあわせて販売された。 上記の一般的な革製の手提げ鞄を潰す場合は、もともとは学用品を入れる目的で購入された「正規の」ものを加工して逸脱化するものである一方で、チョンバッグは、学用品がほとんど入らないことを前提に購入し、はなから学用品を入れることを放棄していることが明らかなため、一般的な上記鞄潰し以上に、逸脱性が高く、過激にヤンキーっぽさを顕示するもので、所持には一定の覚悟を要するものであり、ヤンキーを象徴する記号となり、他者から眼を付けられるものであった。 チョンバッグの「チョン (蔑称)」は、当時、ツッパリ(本段落についてのみ、当時の使用法に倣い、「ヤンキー」ではなく「ツッパリ」を使用する。)が多く在学していたという東京朝鮮中高級学校のツッパリの生徒が所持していたことに由来するとされているが、東京朝鮮中高級学校以外の学校でも、ツッパリ達が好んで持ち歩いた。持ち手の部分を赤や白といった派手な色テープで巻くなど、その他のアレンジは、上記の一般的な革製の手提げ鞄を潰す場合と同様である。 なお、チョンバッグという用語には、広義では、上記の一般的な革製の手提げ鞄を潰す場合も含めることもあった。鞄潰し同様にチョンバッグについても、1990年代以降衰退し、2020年現在、ほぼ絶滅した。
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