チョウの蛹
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/01 23:05 UTC 版)
チョウの場合、多くの種が繭や蛹室を作らず裸で蛹になる。それが教科書等で紹介されることが多く、これが当たり前のように言われるが、むしろ珍しい部類に入る。 例えばモンシロチョウの終齢幼虫は十分餌を食べると蛹化に適した場所を探すために周囲を徘徊し、やがて足元に足場になるように糸を張り、最後尾の腹足でそれに掴まる。また、頭を背後へねじるようにして、自分の背中の後ろに糸を横切るように回し、その両端を胸の前の足場につけ、その糸で自分を固定する。幼虫は頭を縮めるようにして、しばらくじっとしているが、しばらく時間を置いて、脱皮を始める。出てくるのは、成虫の体を膨らませ、触角や付属肢、翅を縮めた上でそれらを体に張り付けた姿の、前後の尖った紡錘形の形で、後端で足場に引っ掛かって体を固定する。その表面は次第に硬くなり、刺激を受けると全身をくねらせるように動くのみとなる。シロチョウ科やアゲハチョウ科の蛹は、頭が上を向き、腹部末端で足場に固定し、背中を通した糸で体を支える。タテハチョウ科の蛹は、腹部末端で足場に固定するだけなので、頭を下にしてぶら下がる。 やがて蛹の表面に切れ目が入り、そこから成虫が抜け出ると、蛹の殻にぶら下がるようにして体を休める。この間に付属肢は硬くなり、翅が伸びる。また、この時に肛門からかなりの量の液体を排出する。これは蛹の間に溜まった老廃物を排出しているのである。
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