ジャック・ジョンソンとの逸話
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「ジェームス・J・ジェフリーズ」の記事における「ジャック・ジョンソンとの逸話」の解説
ジェフリーズはヘビー級王座在位中、ジャック・ジョンソンからの対戦要求を避け続けたとよく言われる。しかし逆に、ジェフリーズからジョンソンに「リング外」での対戦要求をしていたという逸話が残されてもいる。以下は1906年3月5日付『ザ・イブニングワールド』でロバート・エドグレンによって紹介された出来事である。 サンフランシスコにあるハリー・コーベット(ジム・コーベットの兄弟)経営のバーで、ジェフリーズはハリーと談笑していた。そこにジャック・ジョンソンがマネージャー同伴で現れた。ジェフリーズは、しばしジョンソンを注視した後、近づいて言った。「君はこう吹聴しているらしいな――この私が君を怖れ、対戦を避けている、と」 ジョンソンは後ずさりしながらそれに答えた。「ああ、いや、ミスター・ジェフリーズ。私はそんなことは言っていない。私はただ、あんたと試合をしたいだけだ。あんたの方は、私との対戦を熱望してはいないらしいが。」 それを聞いてジェフリーズは、ハリーの方を向いて言った。「ハリー、私に5,000ドルをくれ」 ハリーは言われたとおりに金庫からその大金を出すと、ジェフリーズに渡した。ジェフリーズはそれを数え、再びハリーの手に戻した。そしてジョンソンに向き直って、次のように言った。「さて、君は私が戦いたがっていないと言ったね。ではこれから2人でこの下に降りて、地下室に入ろう。2人だけでだ。もし君が先に1人で外に無事出てこられれば、ハリーが君にこの5,000ドルを渡すだろう。(ハリーの方を向いて) ハリー、わかったな。(ジョンソンに向き直り) もし私の方が先に地下室から出たら、この金の中から君の治療費を出そう。さぁ、君がどうしても私と戦いたくてたまらないのなら、地下室に降りようか。」 ジョンソンは青ざめた。そしてどもりながら次のように言った。「ミスター・ジェフリーズ! 私は地下室の闘技者ではない!(I ain't no cellar fighter!)私は地下室に行く気はない。私はただ、観客に囲まれた、レフェリーのいるリングであんたと試合したいだけだ。ミスター・ジェフリーズ。私は地下室の闘技者ではない。」 この日以来、ジョンソンはジェフリーズへの挑戦を打ち切った。 — Robert W. Edgren、The Evening World,March 05, 1906 同様の記述は1910年に刊行されたジェフリーズの自伝にもあり、1904年の出来事とされている。ただしそこではハリー・コーベットが用意した金額は2,500ドルとされている。また地下室での決闘を拒絶し立ち去るジョンソンに対しジェフリーズが嘲笑しながら悪態をつく一節が存在するなど、全体的により詳細な記述となっている。なお、この出来事自体はジャック・ジョンソンの自伝および伝記でも言及されており、事実とみられる。ただしジェフリーズ寄りのテキストでは、ジョンソンの臆病さが強調され、ジョンソン寄りのテキストでは、黒人ボクサーをまともな挑戦者と見なさないジェフリーズのレイシストとしての面が強調されるかたちでの言及となっている。
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