シュウ酸との関係
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/22 13:53 UTC 版)
水溶液中でのシュウ酸の存在形態は、水溶液のpHにより変化する。どのように変化するかは、以下で述べるように、シュウ酸の酸解離定数から分かる。 他の多塩基酸と同様、シュウ酸のプロトンも1個ずつ段階的に脱離していく。シュウ酸分子(H2C2O4)からプロトンが1個脱離すると、1価の陰イオンであるシュウ酸水素イオン(英語版)(HC2O4−)が生成する。1段目のプロトン脱離反応の平衡定数 (Ka)は9.1 × 10-2 (pKa = 1.04) である。この比較的大きな酸解離定数は、かなり低いpHからシュウ酸水素イオンが生成することを意味する。シュウ酸水素イオンとシュウ酸分子の存在比は pH = 1.04 で 1 : 1 であり、pHの上昇とともにシュウ酸分子の存在比は減少する。シュウ酸水素イオンからさらにプロトンが1個脱離すると、2価の陰イオンであるシュウ酸イオン(C2O42−)が生成する。2段目のプロトン脱離反応の平衡定数は1.51 × 10-4 (pKa = 3.82) である。シュウ酸イオンとシュウ酸水素イオンの存在比は pH = 3.82 で 1 : 1 に達し、このpHでシュウ酸分子はほとんど存在しない。よりpHの高い中性あるいはアルカリ性の水溶液では、シュウ酸水素イオンもなくなって、ほぼ全てシュウ酸イオンとして存在する。 シュウ酸の定量分析では、H2C2O4 と HC2O4− と C2O42− のモル濃度の合計を「シュウ酸」(oxalic acid)の分析濃度と呼ぶ。個々のモル濃度は平衡濃度と呼ばれ、それぞれ記号 [H2C2O4], [HC2O4−], [C2O42−] で表される。 シュウ酸水素イオンはシュウ酸の共役塩基であり、シュウ酸イオンの共役酸でもある。シュウ酸水素イオンを陰イオンとして含む塩は酸性塩であり、シュウ酸水素塩と呼ばれる。また、酸性シュウ酸塩、重シュウ酸塩などと呼ばれることもある。重シュウ酸イオン(bioxalate ion)はシュウ酸水素イオンの古い別名である。
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