サティヤーグラハとデュラグラハ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/09 04:52 UTC 版)
「サティヤーグラハ」の記事における「サティヤーグラハとデュラグラハ」の解説
暴力を用いた抵抗運動が敵対者を傷つけることを意図しているのとは対照的に、サティヤーグラハの本質は敵対者を傷つけることなく敵対関係を解消することを目的としているところにある。そのためサティヤーグラハでは自分たちと敵対者との関係を破壊すること、終わらせることを目的とせず、むしろお互いの関係を変化させる、浄化させる、そして昇華させることを目指す。サティヤーグラハは婉曲的に「静かな力」、「魂の力」とも喩えられる(「魂の力」"soul force"という語は有名なマーティン・ルーサー・キング・ジュニアの"I Have a Dream"演説でも使われている)。この「力」は物理的な力ではなく、サティヤーグラハを実践する者を道徳の力で武装させるものである。サティヤーグラハはまた、原則として親兄弟と異邦人、老若男女、敵味方を区別しないため「万人の力」(universal force)とも喩えられる。 ガーンディーは敵対者を挫くことを目的とするデュラグラハ(物理的な力の把捉)と、敵対者をむしろ啓蒙することを目指すサティヤーグラハ(真理の把捉)を対比している。彼は言う。不寛容、蛮行、傲慢、不当な威圧に陥ってはならない。もし我々が本物の民主主義の精神を育てたいと望むのであれば不寛容を貫いているような余裕はない。不寛容は信仰の大義を失わせる。 サティヤーグラハにおける市民的不服従と非協力戦略(英語版)は「苦しみの法則」に基づいている。これは苦難に対する忍耐が目的を達成するための手段となるという考え方である。この場合の目的とは通常、個人の、あるいは社会の道徳の向上、あるいは進歩というニュアンスを含む。したがってサティヤーグラハにおける非協力戦略とは、実際には真理と正義を通して敵対者の協力を確保するための手段といえる。
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