ケルト語から英語への影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/01 03:40 UTC 版)
「ブリソン諸語」の記事における「ケルト語から英語への影響」の解説
ケルト語は、語彙・語順の両面で英語の基層となっている。ケルト系言語から英語への語彙的な影響は、地名を除けば小さめであると一般に考えられている。これにあたる日常語には、「hubbub」(ガヤガヤとした騒音)、「peat」(泥炭)、「bucket」(バケツ)、「crock」(甕)、「noggin」(手桶)、「gob」(ベットリした塊 ウェールズ語:gob)、「nook」(部屋の隅)、「brock」(アナグマを指す方言 ウェールズ語:broch ゲール語:broc)がある。おそらく、英語の動詞による(doやbeといった助動詞を使う)迂言法の構成は、他のゲルマン語派の諸言語と比べて広く使われており、ブリソン諸語の影響の跡が見える。例えば、文語体のウェールズ語において、「caraf」=「I love」、「Yr wyf yn caru」=「I am loving」となる。ここではブリソン系の統語論がそのまま反映されている。これに対して、ドイツ語では「Ich liebe」というように、ゲルマン系の姉妹言語では一つの形しかない。 研究者の中には、英語の統語論はブリソン諸語の影響をもっと多く受けていると主張している者もいる。例えば英語の付加疑問文において、付加疑問の形式は主文の形式に従っている(「aren't I」?、「isn't he?」、「won't we?」など)。これと対照的に、ドイツ語では「nicht wahr?」、フランス語では「n'est-ce pas?」といった風に、ほとんどどのような主文でも固定された形式となっている。ウェールズ語の付加疑問文は同様に主文に従って変わるため、英語のシステムがブリソン諸語から借用されたと主張されることもあるが、この見方は一般的に受け入れられているとは言いがたい。
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