グリーンアノールの猛威
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/20 09:19 UTC 版)
「小笠原諸島の自然」の記事における「グリーンアノールの猛威」の解説
戦後のアメリカ統治下であった1960年代、父島に中南米原産のグリーンアノールが持ち込まれた。どのようにして父島にグリーンアノールがやってきたのかははっきりしていないが、グアム島からの物資に紛れ込んできたとの説が唱えられている。グリーンアノールは父島では約20年の間にほぼ島内全域に分布を広げた。1980年代になって母島にもグリーンアノールが持ち込まれ、やはり島全体に広がっていった。現在のところグリーンアノールは小笠原諸島内で父島、母島のみで見られ、聟島列島、火山列島、そして父島列島、母島列島の属島には広がっていない。 1990年代に入って父島では小笠原固有の昆虫類が急速に減少してきており、また父島の後を追って母島でも固有の昆虫類の減少が観察されるようになった。父島、母島ではトンボ類など昆虫固有種の多くが絶滅に追いやられたが、この昆虫類の減少はグリーンアノールの増加と時を同じくして発生していること、ノヤギによって植生が壊滅的な被害を蒙った聟島などでも父島、母島よりも固有の昆虫類が良く残されていることなどから、父島、母島で見られる固有の昆虫類の減少、絶滅はグリーンアノールによる捕食によるものと断定された。 グリーンアノールは父島、母島ともに数十ないし数百万匹いると考えられ、早急な駆除は困難が予想されている。そのため対策としてまず父島、母島以外の島に絶対持ち込まないこと、また母島では貴重な固有種であるオガサワラシジミを保護するために、生息地周辺にグリーンアノールが入り込まないように柵を張り巡らすなどの対策が取られている。
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