クローヴィス・ファースト仮説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/05 02:08 UTC 版)
「アメリカ大陸の発見」の記事における「クローヴィス・ファースト仮説」の解説
人類で最初にこの大陸を発見したのは、アメリカ州の先住民族の祖先のうちの誰かであると考えられている。しかし、いつどうやって発見したのかは分かっていない。 1960年代まで通説とされていたのは、約2.1万年前のLGM(最終氷期最盛期)から約1.2万年前の最終氷期終了までの間に、北アメリカ大陸に最初の人類が到達し、これらの人々がアメリカ先住民族の共通の祖先になったとする説(クローヴィス・ファースト仮説)である。概略すると、次のような説である。 LGMの時期、地球の寒冷化に伴い、海水が氷雪として陸地に積み重なった結果、地球全体で海面が大きく低下した。これにより、ベーリング海の一部が陸地と化し、ユーラシア大陸北東部のシベリアと、アメリカ大陸北西部のアラスカとを陸続きで繋ぐベーリング地峡が形成された。このベーリング地峡を通って、モンゴロイド系の人々がアラスカに到達した。しかし、当時は現在のカナダが厚いローレンタイド氷床に覆われており、人々は数千年間行く手を阻まれていた。氷期の終わりが近付いて地球が温暖化し始めた1.4万年前頃から、海面の上昇によってベーリング地峡は水没し、人々は退路を断たれたが、一方でローレンタイド氷床の一部が解けてカナダへ進出するための道(無氷の回廊)が開けた。無氷の回廊を通って南下した人々は各地に広まり、一部の人々はさらに南下してやがて南アメリカ大陸まで到達した。こうして、ベーリング地峡から来た人々はアメリカ先住民族の共通の祖先となった。 この説を裏付ける最大の根拠とされていたのが、20世紀前半にアメリカ大陸各地で発見されたクローヴィス文化の痕跡である。クローヴィス文化は、特徴的な形状を持つ石器文化であり、1.3万年前頃にアメリカ大陸北部で現れ、徐々に広まっていった。当時、この文化はアメリカ大陸の最初の人類の文化とされ、最終氷期後期に北方から人類が流入したことを示す証拠と考えられていた。
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