ガの繭
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/10 10:47 UTC 版)
ガ類の幼虫は、多くは蛹化の前に糸を吐き、これをつづり合わせて袋状の構造を自分の周りに作り、その中で蛹になる。成虫になるとその一部を破って脱出する。この袋状の構造が繭である。多くの場合、糸だけではなく、餌の葉などをその外側につけている。形態には様々なものがある。多くは袋状であるが、ウスタビガの繭は柄があってぶら下がる。また、クスサンの繭は一面に被われているのではなく、糸が寄り合わされた金網のような網目状の壁になっているので、別名をスカシダワラという。イラガの繭も独特で、楕円形に近い球形の繭は、糸だけでなく幼虫の分泌物でかためられてちょっとプラスチックのような質感となっている。成虫が脱出する際には、一端が丸い蓋のようにはずれるので、あとには丸い口の開いた小さなカプセルが残る。これを別名スズメノショウベンタゴという。 糸と幼虫 繭 実用的に身近なのはカイコの繭である。終齢幼虫は簇(しゅく)という小さく仕切られた器に入れられる。カイコの場合、何もなしで放置されると自力では繭を作れない。しきりにそって糸を吐いて作られる繭は中央がすこしくびれた長楕円形である。一般的な繭のイメージはこれに由来する。成虫は繭の端の部分を溶かして脱出するが、それによって糸が切れてしまうので、絹糸を取るためには蛹のうちに繭を煮て殺してしまう。繭は大抵一匹の幼虫によって作られるが、稀に雌雄のペアで作られることがあり、これを玉繭という。玉繭から絹糸を取ると節のある糸となるため、以前は価値の低い物とされてきた。 すべてのガが繭を作るわけではなく、たとえばスズメガ類は地表の物陰で蛹になる。チョウのほとんどは繭を作らないが、ウスバシロチョウのような例外もある。
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