カソードルミネッセンスの起源
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/01/01 03:32 UTC 版)
「カソードルミネッセンス」の記事における「カソードルミネッセンスの起源」の解説
半導体中の発光は伝導帯の電子が価電子帯の正孔と再結合する結果として生じる。この遷移における余剰エネルギーが光子の形を取って放出されることがある。光子のエネルギー(色)と、フォノンではなく光子が放出される確率は、材質や純度、欠陥の有無に依存する。しかし、まず電子が価電子帯から伝導帯に励起される必要がある。カソードルミネッセンスの場合、半導体への高エネルギー電子線の入射の結果として発光現象が生じる。しかし、これらの一次電子は電子を直接励起するには高すぎるエネルギーを持っている。その代わり、結晶中における一次電子の非弾性散乱により放出される二次電子やオージェ電子、X線、がさらに散乱されることがある。このような連鎖反応により入射電子1個あたり多くて 103 個の二次電子が生じる。これらの二次電子がバンドギャップの三倍ほどの運動エネルギーを持つような場合 ( E k i n ≈ 3 E g ) {\displaystyle (E_{kin}\approx 3E_{g})} 、価電子帯の電子を伝導帯へと励起することがある。余剰エネルギーはフォノンに渡され、したがって格子が熱される。電子線による励起の長所の一つは、フォトルミネセンスの場合のように入射光のエネルギーにより調べることのできるバンドギャップエネルギーが制限されたりしないということである。したがって、カソードルミネッセンスの場合調査対象の「半導体」は、実際には非金属であればほとんど何でもよいということになる。バンド構造の言葉を使えば、古典的半導体、絶縁体、セラミックス、宝石、鉱石、ガラスを同じように扱うことができる。
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